自転車のタイヤには様々な文字が書かれています。
実はその文字にはいくつか種類があって、知らずに見ていてもなかなか理解できないものでもあります。
そのため、表記について少しご紹介していきます。
また、文字を気にすることでより格好良い自転車にすることも可能であり、タイヤの文字に関しては知ってほしい知識がいくつもあるのです。
タイヤの文字には基本的な情報が表記されている
普段はタイヤをよく見ることはないでしょう。
走行中はサドルにまたがっているのでタイヤを見ることはできませんし、空気を入れるときでもバルブを見るけれどタイヤは見ないと思います。
そのため、タイヤに書かれている文字の意味を知らない人も結構います。
タイヤに書かれている文字は、タイヤの基本的な情報を示しています。
たとえば「26×1 3/8」と書かれているタイヤがあったとすれば、「26」が外径、「1 3/8」で太さを示しているのです。
また、ロードバイクの場合で「700×25C」という表記であり、それでも見方はだいたい同様です。
「700」は外径で、「25」は太さとなります。
そして、「C」はリムの大きさを示しています。
タイヤがダメになったり、性能の高いタイヤに交換したいと思ったりした場合は、現在のタイヤの表記を確認して、同様の数値のものを購入すれば間違いなく装着させることができます。
間違ったサイズのタイヤを購入しないためにも、一度はタイヤの文字を確認しておくと良いでしょう。
タイヤの文字はサイズだけじゃない!空気圧も表記してある
タイヤに記載されている文字はサイズだけではありません。
タイヤの大切な情報である適切な空気圧も表記してあります。
たとえば「455-700kPa(4.5-7.0bar 65-100psi)」と表記されていたとしましょう。
その例では空気圧は3つの単位で書かれており、そのように空気圧の単位はいくつかあるのです。
kPaはキロパスカル、barはバール、PSIはプサイ(もしくはピーエスアイ、ポンドパースクエアインチ)、kgf/cm2は重量キログラム毎平方センチメートルと読みます。
ちなみに、barを100倍するとkPaと同じ値になります。
例示した表記でも、100倍した値になっていることが分かるでしょう。
そして、例には記載されていないのですが、barとkgf/cm2は、別の単位なのですが近い値になることが知られています。
タイヤに空気圧が表記されているように、タイヤの空気圧を決定するのはタイヤなのです。
空気圧を高くしたいと思ったら、チューブではなくタイヤを交換しないといけないわけです。
そして、タイヤの空気圧には上限と下限があります。
例では「455-700kPa」という表記があったように下限が「455kPa」で上限が「700kPa」というわけです。
空気圧が高いと乗り心地が硬く、空気圧が低いと衝撃が少なくなるのですが、過度な空気圧はパンクの原因になるので上限と下限の範囲で調整してください。
タイヤの文字を知れば明記されていないタイヤの規格も分かるようになる
タイヤの文字にタイヤに関するすべての情報が記載されているわけではありません。
たとえば、タイヤの規格についての標記はありません。
タイヤの規格というのは、WOタイヤやHEタイヤのことです。
それらタイヤの規格には互換性がないので、サイズが似ていても自転車に装着できないので注意してください。
そして、自分のタイヤの規格が重要になるわけですが、それはサイズ表記で判断できます。
それというのも国柄と傾向があるからです。
WOタイヤは、イギリスの規格です。
そして、WOタイヤの場合はサイズはinch×inch(分数表記)で記載されます。
ちなみに同様の規格でもフランスではクリンチャーと呼ばれて、サイズはmm×mm、さらにリムの外径がa・b・c・dの4段階で表記されます。
HEタイヤは、アメリカの規格で、サイズはinch×inch(小数点表記)で表記されるのです。
「26×1 3/8」はWOタイヤで、「700×25C」はクリンチャー(WOタイヤ)、「20×1.25」」はHEタイヤというわけです。
基本的には現在のタイヤの表記と同じものを探せば良いわけですが、WOタイヤ、クリンチャー、HEタイヤということが分かれば、よりタイヤを探しやすくなると思います。
ETRTO表記を見ればタイヤの選択肢が増えることも
タイヤの文字を見ていると「26×1 3/8」や「700×25C」や「20×1.25」といった表記があるわけですが、それらいずれでもない表記が記載されていることがあります。
たとえば、「37-559」というものです。
それは、ETRTO(エトルト)表記のサイズであり、欧州のタイヤとリムの規格です。
「37-559」であれば「37」はタイヤの太さで単位はmm、「559」はビードの直径で同じく単位はmmとなります。
ビードの直径で考えているため、他の表記と対応させた場合、1対1だけではなく1対多に対応していることがあります。
例に挙げた「37-559」であれば、「26×1 5/8」、「26×1 3/8」、「26×1.40」の3つに対応しているのです。
また、例は珍しい例であり、対応したサイズにWOタイヤとHEタイヤがあることが分かるでしょう。
通常ではそのようなことはなく、つまりWOタイヤとHEタイヤに互換性がないのですが、正確に言えば数が少ないながらもWOタイヤとHEタイヤに互換性がある場合があるのです。
それが分かるのもETRTO表記のおかげだと言えるでしょう。
つまり、ETRTO表記を見ておけば、WOタイヤとHEタイヤの垣根を越えてタイヤを選択できることがあるのです。
タイヤの文字とバルブを合わせることで見た目がすっきりに
タイヤは外径や太さが表記されているわけですが、メーカーロゴも表記されています。
そして、ロゴはタイヤで一番目立つ文字です。
黒いタイヤに白色でロゴが描かれていることもあるのでかなり目立ちます。
そこでロゴをどこに持っていくかで格好良さが変わると言えます。
スポークが放射状に広がっていて、タイヤに目立った特徴はないと思うかもしれませんが、唯一目立つ場所があります。
空気を入れるために付いていて出っ張っているバルブは目立つパーツです。
均衡の取れたタイヤの美しさの中にバルブがちょこんと突き出て存在感を示しています。
そこに白色の目立つロゴを考えもなしに配置してしまうと、タイヤの美しさを大きく崩してしまい兼ねません。
そこでおすすめなのが目立つバルブと白いロゴを同じ位置に持ってくることです。
目立つものを一ヶ所に集めることで、タイヤのバランスを整えることができます。
考えないで配置していたよりも確実にタイヤがすっきりと見えるようになるので、タイヤを装着する機会があればロゴの位置とバルブの位置を合わせるようにしましょう。
タイヤの文字をおしゃれにアレンジする方法
メーカーロゴが格好良く書かれていて、サイズなどの他の文字も白く塗って格好良くしたいという場合はタッチペンで塗ることで白く目立たせることができるようになります。
しかし、タイヤに普通のタッチペンを使うことはあまりおすすめしません。
硬そうなタイヤですが走行中の変形は意外と大きいです。
普通のタッチペンの塗料だと変形に耐えられず、ヒビが入ってしまって最終的には剥がれてしまいます。
そのため、タイヤ専用のタッチペンを使用してください。
また、元々タイヤに表記されている文字に色をつけるだけでなく、自由に書くことでオリジナルのドレスアップを施すこともできるでしょう。
また、逆にメーカーロゴが嫌だという場合は、塗料だけ落とすのは無理だと思ってください。
そのため、ロゴを消すにはヤスリで削りましょう。
ナイフなどの刃物で切り取るのは難しいので、ヤスリがおすすめです。
また、ヤスリは金属ヤスリでなく、紙ヤスリを使ったほうが削りやすいと思います。
タイヤの文字には技術の結晶が詰まっている
タイヤの文字を1つ取っても自転車の歴史や地域性を感じられるものです。
タイヤの規格がいくつかあるわけですし、タイヤのサイズにしても単位がいくつもあります。
それは多くの先人たちが自転車に携わってきた証拠でしょう。
多くの人々、多くの地域、多くの時間、その結晶がタイヤの文字に刻みこれているのです。
そんな歴史スペクタクルに思いを馳せるだけでなく実用的でもあるので、交換やメンテナンスのためにもタイヤの文字をもう一度見つめてみてはいかがでしょうか。