空力特化サイクルウェア?それだけじゃないワンピースの利点

ワンピースのサイクルウェアのメリットにどのようなものがあるか、ご存知でしょうか。

恐らくイメージとしては、競技者の方が来られる、とイメージする方が多いでしょう。

ワンピースのサイクルウェアを使用する方の大半のそのとおりです。

しかし、一般の方も使用できないわけでもないですし、着心地を考えると使うのも悪くないと言えるでしょう、
そこで、ワンピースタイプのサイクルウェアの利点や不便な点、価格についてのお話をしていきます。

サイクルウェアにおけるワンピースについて

ワンピースと聞くと、上と下のスカートが一体化した女性用の衣類という認識が強いと思いますが、そちらのワンピースではありません。

サイクルウェアのワンピースとは、レーサーパンツとサイクルジャージがシームレスに一体化したサイクルウェアを指します。

通常、ワンピースタイプのサイクルウェアは「スキンスーツ」、または「クロノスーツ」と呼ばれ、主な用途は自転車競技のタイムトライアルやトラック競技に用いられます。

その最大の特徴として、その名の通りのワンピース構造により空気抵抗が少ないことが挙げられます。

しかし、それ故に普段使いでは種々の制約が課せられるため、非常に敷居が高いサイクルウェアと思われています。

しかし、大会でタイムを狙うライダーには、着るだけでもタイム短縮に繋がるこのワンピースのサイクルウェアをぜひ導入したいと思うはずです。

また、最近ではシームレスな構造による着心地のよさから、シリアスレーサー以外にも徐々にワンピースのサイクルウェアが広まりつつあります。

そのワンピースタイプのサイクルウェアの長所と短所について、次の章からお話しします。

そして、最後の章ではそのワンピースのサイクルウェアを販売しているメーカーと価格について考えます。

シームレスなワンピース構造が「着心地のよさ」に貢献する!

ワンピースのサイクルウェアは、空気抵抗が少ないためにタイムトライアルに使用されます。

その理由が、その名の通りのワンピース構造と体にピッタリとフィットするシルエットにあります。

そして、それらの要因によってワンピースタイプのサイクルウェアには、空気抵抗の削減以外にも恩恵がもたらされました。

それが、「着心地のよさ」です。

ここで一度、一般的なサイクルウェアについて考えます。

一般的なサイクルウェアのレーサーパンツは、ウエストで締め付けるタイプと肩紐のタイプがあります。

ウエストで締め付けるタイプの場合、ウエストに締め付ける力が集中するため、そこの皮膚の負担が大きくなり、人によっては皮膚の擦れなどの問題が生じます。

対して、肩紐タイプの場合はウエストに力が集中はしませんが、肩にかかる紐が煩わしく感じたり、肩紐と皮膚の擦れが気になったりします。

しかし、繋ぎ目がなく、全身を適度に締め付けるワンピースタイプのサイクルウェアの場合、このような問題は起こらないため、快適な着心地が得られます。

シクロクロス用のサイクルウェアにも選ばれる!その理由は?

通常のサイクルウェアとは異なり、腹部に繋ぎ目がないワンピースタイプのサイクルウェアには、空気抵抗の削減と着心地のよさ以外にも利点があります。

その利点とは、ワンピースタイプのサイクルウェアは、雨天時やウェットな路面を走る際にホイールが巻き上げた泥や砂がウェア内に入らないことです。

一般的なサイクルウェアでは、腹部のレーサーパンツとサイクルジャージの隙間から、泥や砂が入り込み不快な思いをするだけでなく、皮膚の擦れなどのトラブルの原因になります。

しかし、ワンピースタイプのサイクルウェアは上下一体であるため隙間が生じず、泥や砂が侵入しません。

そのため、オフロードかつ深い泥で覆われたコンディションで走るシクロクロスのレースでは、ワンピースタイプのサイクルウェアが主流となっています。

また、過酷なシクロクロスのレースで使用されることから、サイクルウェアとしての耐久性も十分兼ね備えていると分かります。

前章で取り上げた「着心地のよさ」「泥や砂をシャットアウトする」という利点から、タイムトライアルで1秒を争うような走りをしないライダーでも、ワンピースタイプのサイクルウェアを導入する理由として十分であると言えます。

ワンピース故の欠点はトイレの時に現れる

前章と前々章では、ワンピースタイプのサイクルウェアを使用する利点についてお話ししました。

ここからは、ワンピースタイプのサイクルウェアが持つ不便さ、つまりはデメリットについてです。

ワンピースタイプのサイクルウェアの不便な点として真っ先に挙がるのは、トイレ時の煩わしさです。

上下一体であるが故に下だけ降ろせないため、その都度上半身も脱ぐ必要があります。

また、トイレの便座に座った状態でウェアを膝辺りまで降ろすと、上半身部の生地がトイレの床に着いてしまい、非常に不衛生です。

そのため、上半身部の生地が床に着かないように抱えていなければなりません。

さらに、背中のポケットにスマホや財布が入っている場合は、当然そのままでは脱げないのでどこかに置くか、トイレが済むまでは手に持っている必要があります。

しかし、トイレの際に上半身も脱ぐ必要があるのは、ワンピースタイプのサイクルウェアだけでなく、肩紐タイプのレーサーパンツもそうです。

従って、ワンピースタイプのサイクルウェアだけが飛び抜けて不便であるとは言えません。

普通のサイクルウェアに劣るポケットの容量問題

もう一つ、ワンピースタイプのサイクルウェアにはデメリットが存在します。

ワンピースタイプのサイクルウェアは、背中のポケットの容量が小さいのです。

なぜなら、ワンピースタイプのサイクルウェアは空気抵抗の削減を狙い、生地を最適化してあるため、レースで必要な最低限の容量、具体的には補給食が入るくらいの容量しか確保されていないからです。

そのため、普段から背中のポケットに自転車のカギやパンク修理キット、補給食やデジタルガジェットの類を持ち歩く方には不便に感じてしまうでしょう。

ですが、逆にポケットの生地が必要最小限であるために、ポケット部の通気性に優れ、気温と湿度が高いコンディションでもポケット部の暑さが気にならないという利点があります。

また、背中のポケットの容量が減ってしまっても、サドルバックやマウント等を使用して荷物を自転車に預ければ問題は解決します。

それに、背中のポケットに荷物を多く抱えている場合は、腰などに負荷が発生します。

本来的にも、背中のポケットにはあまり荷物を抱えるべきではありません。

ワンピースタイプのサイクルウェアの価格は高い?

最後の章では、ワンピースタイプのサイクルウェアを販売している主要なメーカーと、そのモデルと価格について簡単にお話しします。

以下、メーカー、モデル名、価格(税抜き)一覧です。

・サンボルト「プロフィットライトワンピース」
¥15,897

・パールイズミ「3Dネオ」
¥20,865

・シマノ「ACCV3D」
¥25,000

・カペルミュール「デュアルスーツバーニングブラック」
¥25,634

・ラファ「プロチームエアロスーツ」
¥38,000

・カステリ「サンレモ3.2スピードスーツ」
¥36,800

・アソス「CSスピードファイアクロノスーツ」
¥48,288

なお、以上に挙げたモデルは、各メーカーの中で一番低価格なものです。

価格を見ると、ワンピースタイプのサイクルウェアは決して安価ではないと分かります。

一般的な、趣味の範囲で使用するのであれば比較的価格である、サンボルト、パールイズミ、シマノ、カペルミュールの中から選ぶことになるでしょう。

それでも、サンボルトを除いて価格は軒並み2万円をオーバーします。

しかし、通常のサイクルウェアでも高品質なものを上下セットで購入すると、最低でも2万円くらいになるので、決して高すぎるとは言えないでしょう。

つまり、ワンピースタイプのサイクルウェアは、一般ライダーのサイクルウェアの選択肢としても十分にありうるということです。

ラファ、カステリ、アソスのものは、1秒を争う場合に向けたプロスペックです。

そのため、一般的なサイクルウェアとして使用するにはオーバースペックでしょう。

しかし、それらの性能の高さは、現役最強と名高いクリス・フルーム選手のツールドフランス総合優勝と、ファビアン・カンチェラーラ選手のリオ五輪個人タイムトライアル金メダルに、それぞれ貢献したことにより証明されています。

機材に妥協を許さない方、1秒でもアドバンテージが欲しい方、または、プロスペックの機材がただ欲しい方、そのような方々はこれら3社のメーカーのものを購入すれば間違いありません。

何よりも快適さを求めるならばワンピースを選ぼう!

ワンピースタイプのサイクルウェアは、空気抵抗の削減だけでなく、「着心地のよさ」「泥や砂をシャットアウトする」といった利点がある反面、トイレの煩わしさや、ポケットの小ささといったデメリットもあります。

しかし、それらのデメリットは取り立て問題になるほど重大な欠点ではなく、利点の方が上回ります。

「とにかく快適なサイクルウェアが欲しい」といった方に、ワンピースタイプのサイクルウェアをおすすめします。