ロードバイクなどを始めとする自転車を制御、制動する唯一の手段は「ブレーキ」です。
「コンポ」という1つのくくりに入ってしまうと、クランクやレバーなどの陰に隠れた存在になり、軽視されていると評価されることもあります。
しかし、もちろん軽視されてはならない部分であることは明白です。
そこで今回は、コンポでは世界のトップシェアを誇る「シマノ」のロードバイク用ブレーキをご紹介しますので、カスタムの参考にしてください。
ロードバイクに採用されているブレーキの種類
今回はロードバイク用のブレーキのお話になりますが、まずはブレーキの種類についてお伝えします。
現在ロードバイクに採用されているブレーキは、キャリパーブレーキとディスクブレーキです。
ほぼキャリパー一択だったところにディスクブレーキが参入し、勢力を拡大中というイメージです。
キャリパーブレーキは「リムブレーキ」の一種で、ホイールの外周であるリムで回転を制動します。
本体とレバーをワイヤーで繫ぎ、レバーを引くことで本体のアームが動き、アームに付属しているブレーキシューがリムを左右から挟みつけ、そこで起こる摩擦によって回転が止まる(緩む)仕組みです。
一方のディススクブレーキはMTBでは主流になっており、クロスバイクも6~7割がディスクブレーキ仕様かと思います。
ロードバイクはまだそこまでのシェアはないですが、世界最高峰のワールドツアーを管理するUCIが2018年に正式解禁したことにより、今後ますます拡大すると言われています。
ディスクブレーキの仕組みは、ホイール中央のハブに取り付けられたローターを左右のパッドで挟みつけて制動します。
パッドの作動方法には2種類あり、リムブレーキと同じワイヤーで動かす機械式と、油圧でピストンを押し出すようにして動かす油圧式があります。
ロードバイクにはこのどちらかのブレーキが付属しており、シマノのコンポにもディスクは一部グレードですが、両者ともラインナップされています。
キャリパーブレーキとディスクブレーキの違い
前項でお伝えしたキャリパーブレーキとディスクブレーキは、シェアの面では現在真っ向勝負中というところですが、互換性が全くありません。
ディスクブレーキは、フレームには専用の台座が必要ですし、ホイールはローターを取り付ける仕様になっていなくてはなりません。
しかも、フレーム側のホイールを取り付ける場所である「リアエンド」の幅も違うので、完全に別物と考えなくてはいけません。
いわゆる完成車でもフレームセットでも、最初からブレーキのことを考えて購入する必要があるのです。
では、どちらを選択するのかというお話ですが、これは自分の乗り方や用途で決めることになります。
キャリパーブレーキは元がスピードのコントロール用に開発されているもので、制動力は全体的に弱めです。
弱いと言っても少し制動距離が長く感じるという程度ですし、シマノの上位グレードのコンポになれば、ピタッと止まるほどの強力な制動力もあります。
しかし、ディスクブレーキほどの強さではありません。
一方ディスクブレーキは、自動車のブレーキにも採用されているシステムのため制動力が強く、しかも地面と離れた場所で制動が行われるので、泥や水はねの影響を受けにくく、安定しています。
そのため、オフロードやアップダウンの激しい場所を頻繁に通る様な乗り方であれば、ディスクブレーキの方が適していることになります。
シマノのコンポでは105グレードがキャリパーブレーキの分岐点
それではここからシマノのブレーキについてお話ししますが、まずはキャリパーブレーキからです。
ブレーキはコンポの中の一パーツで、シマノのコンポには6段階の正規グレードが設定されています。
そして、キャリパーブレーキではもはや定説とも言えますが、「105」というミドルグレードのコンポを境に、精度に大きな差があると言われています。
エントリーグレードの完成車ではシマノでも下位グレードのコンポが搭載されていますし、コストダウンを図るため他メーカーのブレーキが搭載されていることもあります。
一概に言えるわけではありませんが、コストダウン目的のブレーキがシマノの制動力を上回る可能性は低いので、不安があるのは事実です。
そして、シマノのブレーキはどのグレードのレバーでも操作が可能なため、ブレーキだけを単独で交換できるので、推奨されることが多くなります。
シマノのキャリパーブレーキで上位グレードのコンポが推奨される理由
前項でお伝えしたように、シマノのキャリパーブレーキでは105以上のグレードが推奨されます。
ここではその理由を詳しくお話しします。
キャリパーブレーキは、ワイヤーで引いた時にアームがたわんで変形してしまうと、パワーロスが起こり制動力が落ちます。
アームがたわむとシューがリムに付くまでにタイムラグが発生するので制動距離が長くなりますし、しっかりとリムを挟み込めないので制動力が弱くなります。
その点でシマノの上位グレードコンポ(デュラエース、アルテグラ、105)のブレーキは、アームや本体がたわんだり、振動したりしない仕様になっています。
「SLR-EV」というシステムですが、ブレーキアームを従来よりも短くして反応性を高め、効率よく力が掛かるようにしています。
また、下位グレードは現在もそうですが、キャリパーブレーキの軸は2か所です。
しかし、これを3点にすることで、左右のバランスが均等化され、より両側からピタッと吸い付くようなブレーキアクションになっています。
しかも最上位グレードのデュラエースとセカンドのアルテグラには、ブレーキの振動を抑えるブースターが搭載されていますので、さらに制動力が高まっています。
シマノは汎用型コンポ105にディスクブレーキが加わったのが大きい!
前項まではシマノのキャリパーブレーキについてお話ししましたが、ここではディスクブレーキについてお話しします。
シマノでディスクブレーキモデルがあるコンポは、上位のデュラエース、アルテグラ、105の3グレードです。
フレームやホイールが専用であることはお伝えした通りですが、コンポでは本体はもちろん、ローターも必要ですし、デュアルコントロールレバーも専用のものになり、キャリパーブレーキ仕様よりも2万円ほど高価になります。
これだけのコストが掛かりますので、下位モデルにはラインナップが不可能ということになります。
最上位のデュラエースでも2016年が初登場で評価がまだ固まっていないという現状ですが、旧来のシマノのディスクブレーキに比べると、制動力やローターの冷却力は各段にアップしていると聞いています。
また、汎用性の高い105にも2018年のモデルチェンジでディスクブレーキが加わったことにより、シマノのシェアがさらに拡大すると見られています。
ダイレクトマウントブレーキとは?
ロードバイクでディスクブレーキがシェアを拡大するかもしれないとお伝えしましたが、最近「ダイレクトマウントブレーキ」という新たな規格も登場してきました。
見た目はキャリパーブレーキと同じですし、ブレーキの仕組みもリムブレーキと変わりありません。
では、どこが違うのかと言いますと、フレームへの固定方式になります。
一般的なキャリパーブレーキは真ん中に付いているボルト1本でフレームに固定しますが、ダイレクトマウントは左右のボルト2本で固定をします。
それにより、ブレーキシューと固定部分の距離が近くなるので、より直線的に力が伝わりますし、たわみが減りますので制動力もアップします。
シマノでは上位グレードのコンポ、デュラエース、アルテグラ、105にダイレクトマウントが用意されています。
ただし、ダイレクトマウントは専用のフレームやフロントフォークでなければ取り付けられないので、導入を検討する場合は必ずフレームを確認してください。
ブレーキに妥協は禁物!
ロードバイクのブレーキはコンポの中の1パーツであり、コンポにはグレードがあるので、ブレーキのレベルもまちまちになります。
キャリパーブレーキは全てのグレードに用意されていますが、推奨されるのは105以上のグレードです。
ディスクブレーキやダイレクトマウントは、専用のフレームやホイールが必要ですが、今後注目度が上がっていくのは間違いなく、覚えておいて損はないかと思います。