シマノのロードバイク用コンポの最高峰と言えば「デュラエース」ですが、2016年にR9100にモデルチェンジされましたので、完全に定着した感があります。
アルテグラや105もR9100の技術を受け継ぎ、次々にモデルチェンジしていますので、ますます元となるR9100が気になります。
そこで今回はインプレ情報なども参考に、シマノ・デュラエースR9100についてお話しします。
シマノ・デュラエースの歴史
デュラエースはシマノのロードバイク用コンポのパイオニアであり、1971年に名義のクランクが発売されたのが始まりと言われています。
STI(シマノトータルインテグレーション)システムが採用された1991年モデルで、シフト・ブレーキ一体型のデュアルコントロールレバーとなりました。(7400、7410系)
この時はまだリア8速のコンポであり時代の流れを感じますが、1996年に9速となり、今の上位モデルでは基本となっている「ホロ―テッククランク」が開発されました。(7700系)
そして、2003年の7800系でリア10速となり、次の7900系ではついに機械式変速「Di2」が登場します。
さらに、7900系からSTIレバーのケーブルがハンドル内蔵式になり、シフトのトリム操作を省略する為に、駆動系の仕様が一新されます。
そして、2012年リア11速化に伴い、型番も9000へとジャンプアップしました。
現在は全てのグレードに採用されている4本アームのクランクなども導入され、当時のインプレ情報が大いに盛り上がっていたのを記憶しています。
そして、2016年にロードバイク用コンポを表す「R」のイニシャルをまとったR9100系となり、油圧式ディスクブレーキやパワーメーター一体式のクランク、シャドー形状のリアディレイラーなど、これでもかと最先端の技術が投入されました。
このように、デュラエースは新しい技術の発信源になっており、常に先頭を切ってモデルチェンジが行われるフロントランナーなのです。
シマノ・デュラエースR9100の開発コンセプト
デュラエースの開発コンセプトは、プロレーサーのニーズに応え最高級のものを提供するということです。
R9100ももちろんそのコンセプトに変わりはなく、1分1秒を争うレーサーのために、性能を究極レベルに押し上げ、1gでも軽くするように無駄を省き、最高の素材を使用し精巧に作り込まれています。
他のグレードのコンポは全てがスチール製のスプロケットを半分チタン製にしたり、STIレバーのユニットの一部をカーボン製にするなどして差別化を図っています。
そのため、価格もシマノのコンポでは別格であり、最新のR9100系は、グループセットで約21万円(機械式変速)となり、セカンドグレード「アルテグラ」の約2倍以上になります。
この価格差はよくインプレ情報でも取り上げられており、「そこまでの性能差があるのか?」という議論がされています。
その答えは分かれており結論は出ていないのが現状ですが、とにかくデュラエースはシマノにとって特別な存在であることだけは間違いありません。
シマノ・デュラエースR9100のモデルチェンジ時のトピックス
それでは、シマノ・デュラエースR9100系をインプレ情報を交えながらご紹介していきます。
まずは全体像を把握して頂くために、前モデルからの変更点や新たに加わった点を挙げてみます。
◆シマノ初となる油圧式ディスクブレーキモデルが登場
◆こちらも初となるパワーメーター一体式クランク登場
◆MTBで採用されていたシャドー形状のリアディレイラーの導入
◆カセットスプロケットにワイドレシオ最軽30Tモデルが登場
◆Di2にMTB同様の「シンクロナイズドシフト」が導入
◆Di2がワイヤレス(ブルートゥース)通信でカスタム可能な仕様となる
のちほどパーツごとに詳しくご紹介しますが、これらが主なトピックスになります。
なお、近年のシマノのコンポの特徴でもありますが、前モデル9000系との互換性が随所に保証され、インプレ情報でも多くのパーツが単独で換装できる点が高評価になっています。
シマノ・デュラエースR9100のインプレ評価①フロント変速
それではシマノ・デュラエースR9100系のパーツを、インプレ評価も参考にしながらご紹介します。
【STIレバー】
機械式は、レバー部の再設計により、小さなレバーストロークとなり、よりクイックな変速動作が可能となりました。
また、前モデルとの比較インプレでは、握り込んだ際のグリップ感やレバーへの指の掛かりがよくなったと評価されています。
一方電動式は、レバーの形状が大きく変更され、ブレーキレバーが引きやすくなっていますし、また変速スイッチも押しやすいように形状が一新されています。
【フロントディレイラー】
特に機械式に大きな変更点があり、ケーブルアジャスターを本体内蔵としたため、従来のロングアームからショートアームのスッキリとしたデザインとなり、空力性能も向上しています。
また、前モデルまでは、フレームの形状によってシフトワイヤーの取り付け角度が様々なため、その都度セッティングを変える必要がありましたが、仕様の変更により共通のセッティングでOKとなりました。
【クランクセット】
アームが見るからに太くなり、見た目のインプレ評価では賛否が分かれるところですが、それでも軽量化が図られているのがシマノの凄いところです。
ハイライトはパワーメーター一体型で、左右それぞれのワットを計測することができ、充電式のバッテリーが内蔵されています。
また、パワーメーターがスパイダーアームに取り付けられているので、チェーンリングのみの交換も可能です。
シマノ・デュラエースR9100のインプレ評価②リア変速とブレーキ
前項に引き続き、シマノ・デュラエースR9100系を、パーツごとにご紹介します。
【リアディレイラー】
トピックスでもお伝えしましたが、MTB同様のシャドー形状が導入されました。
横への張り出しが少ないので空力性能が向上していますし、万が一の落車の際にも接触の可能性が少なくなります。
また、スプロケットのどの歯にチェーンが入っていても、ディレイラーのガイドプーリー(歯車)とスプロケットの歯先の距離を一定に保つ仕様としたため、変速の安定性が増しています。
そして、スプロケットに30Tのワイドレシオなギアが登場しましたが、もちろん対応しています。
【カセットスプロケット】
チタンとスチールが半数づつという構造は変わりませんが、上記のような11-30Tというワイドレシオなギアが追加となりました。
ヒルクライムを行うライダーや女性からのインプレ情報が目立ち、デュラエースの裾野が広がったとまで言われています。
【ブレーキ】
ディスクブレーキモデルはR9100が初となりましたが、その後アルテグラ(R8000)と105(R7000)にも導入が進んでいます。
フラットマウントのコンパクトなキャリパーや、既存のローターより30℃も温度を下げられる放熱性は、シマノの高い技術の裏付けでしょう。
また、キャリパーブレーキも、ブースターを本体に取り付けることで、操作時のたわみが大幅に減っていますし、タイヤとのクリアランスが広く確保され、最大28Cの太さまで対応可能になっています。
シマノ・デュラエースR9100のインプレ評価③ホイール
さて、シマノではコンポのデュラエースと共に、ホイールもR9100にステップアップさせましたので、最後にご紹介します。
ラインナップ自体を一新させており、ハイエンドモデルとしてのデュラエースの特別性をさらに際立たせた印象です。
ディープリムホイールのリムハイトはレースでの実戦使用の多さを考慮し、40㎜(C40)と60㎜(C60)となりました。
また、トレンドであるワイドリム化が図られ、太いタイヤへの対応も可能となりました。
それによって、やや剛性不足とされてきたアマチュアユースモデルの「WH-R9100-C24」において、剛性アップを体感するインプレ情報が増えたのも大きな収穫と言えるでしょう。
そして、コンポ同様ディスクブレーキモデルも加わり、ラインナップはフルカーボンリムのチューブラー、チューブレスタイヤ対応となります。
別格という評価に相応しい特別性がある!
今回は、シマノ・デュラエースの最新モデルR9100についてお話ししました。
さすがデュラエースという最新鋭の技術ももちろんですが、それが追随しているアルテグラや105に受け継いでいく点もさすがシマノです。
セットでとなると中々ハードルが高いですが、単品でのカスタムも可能なので、検討してみてはいかがでしょうか。