今回ご紹介するのはメリダのMTBの中でも、初心者向けのエントリーグレードとされる「BIG.SEVEN(ビッグセブン)20MD」 です。
MTBが初めてという方はもちろんですが、ママチャリなどのシティサイクルしか乗ったことがないという方にも、スポーツバイクの入門機としておすすめです。
また、今回は併せてメリダのMTBの全体像もお伝えします。
メリダ・ビッグセブン20MDは「ハードテイル」
メリダのビッグセブンシリーズはハードテイルで、ホイールは27.5インチ、アルミフレーム車になります。
簡単にご説明しますとこうなりますが、聞き慣れないフレーズもあるかと思いますので、順を追ってご説明します。
まず「ハードテイル」ですが、これはMTBの最大の特徴であるサスペンションが前側(フロントフォーク)にしか付いていない機種のことです。
一方、後ろにもサスペンションのある機種は「フルサス(フルサスペンション)」と呼びます。
サスペンションを前側にしか付けないことで軽量になりますし、後ろ側がサスペンションによって上下に動いてしまうと、パワーロスが大きくスピードが出にくくなりますので、それが無いハードテイルはある程度のスピードも確保できます。
そのため、ハードテイルはXC(クロスカントリー)などのスピード系レースで重用されています。
また、軽量で装備も簡潔ということから手軽さがありますし、価格も抑えられるので、ビッグセブン20MDのようなエントリーグレードはほぼハードテイルです。
メリダ・ビッグセブン20MDの車輪は27.5インチ
前項では、メリダのビックセブン20MDはハードテイルとお伝えしました。
続いては、機種名の一部にもなっているホイール(タイヤ)の大きさについてご説明します。
ロードバイクはほぼ700cという規格で統一されていますが、MTBは統一というところまではいかず、いくつかの規格があります。
ビッグセブン20MDは27.5インチで、MTBのホイールの規格としては一番新しいものです。
MTBが登場してから長い間ホイールの主流は26インチで、小回りが利いてハンドル操作がしやすいという特徴がありました。
しかし、MTBにもスピード化が叫ばれ、ペダルひと漕ぎでの距離が伸びるということで、大口径の29インチが競技の世界を中心に波及していきます。
ちなみに、メリダではビッグセブンシリーズと車輪の大きさ以外は全く同じ仕様の「BIG.NINE(ビッグナイン)」シリーズが、29インチになります。
そして、市場では26インチの小回り性と、29インチの走破性を兼ね備えたバランス型として、その中間の27.5インチが普及します。
メリダは特化していませんが、MTB界全体では27.5インチが今の主流です。
29インチは日本人の平均的な体型ですと、少し大きく車高も高く感じられると思いますので、27.5インチの方が扱いやすさは上でしょう。
ビッグセブン20MDはアルミフレーム~MTBにアルミが適している理由
次にお話しするのはフレームの素材についてですが、メリダ・ビッグセブンシリーズでは2019年モデルに前年からの大きな変革がありました。
2018年モデルまではカーボンフレーム車も用意されていましたが、2019年モデルから20MDのようなアルミフレーム車のみとなりました。
ただ、ビッグナインのカーボン車は継続販売とされており、プロチームにも引き続き供給されています。
メリダのカーボンフレーム車はプロへの供給を前提としており、プロの需要がなくなったものは一般市場からも消える傾向は昔からありましたので、ビッグセブンに限りカーボンの需要が無くなったと見られています。
しかし、山林道や砂利道などの過酷な環境で使用されるMTBは、頑丈で耐久性のあるアルミの方が、アマチュアレベルでは優れていると言っても過言ではありません。
カーボンは横からの衝撃に弱く、傷が付いたり、繊維のほつれなどで積層が崩れてしまうと、そこから破断して割れてしまう事もあります。
その点アルミは、傷はつきますが破断はしませんし、へこんでも板金をして叩けば修復できますので、気にせずガンガン乗り込むことができます。
また、のちほど20MDについて詳しくお話ししますが、何よりカーボンに比べ圧倒的に価格が安いのも大きな魅力です。
メリダ・ビッグセブン20MDの「20MD」とは?
ここまでメリダのMTBビッグセブン20MDも含めた、ビッグセブンシリーズについてお話ししていますが、「20MDとは何?」という疑問も少なからずあるかと思いますのでご説明します。
メリダはMTBに限らず、プロチームに供給されている以外のバイクは、「シリーズ名+品番」を製品名に設定しています。
品番はフレームの素材によって振り分けられており、4ケタがカーボン、3ケタ、2ケタがアルミとなっており、数字が大きい方がグレード上位となります。
アルミの3ケタと2ケタの区別は詳細不明ですが、シリーズの中で一番価格の安いものが2ケタであるイメージです。
そして、「MD」ですが、これは「メカニカル・ディスクブレーキ」の略です。
メリダのMTBのラインナップ一覧を見ると分かると思いますが、シリーズ名+品番のみの製品名がほとんどで、MDはごくわずかの機種にしか付いていません。
これはメリダのMTBは、ほとんどの機種が「油圧式」のディスクブレーキを採用しており、何も注釈がついていないのは油圧式という暗黙の了解になっているためです。
したがって、20MDはビッグセブンのアルミフレームの最低価格であり、機械式ディスクブレーキ(MD)が装備されているという意味です。
メリダ・ビッグセブン20MDのスペック
それではここで、メリダのビッグセブン20MDのスペックをご紹介します。
メリダは金属の成形技術においては、どの時代でも常に世界に認められるものがあり、エントリーグレードでもそれは変わりません。
そのため、シャキッとしたアルミらしい乗り味を残しつつ、硬すぎないしなやかさも兼備しています。
そして、100㎜という十分なトラベル量を持つサスペンションが、さらに衝撃吸収性を高めています。
また、サスペンションは動きを止めて固定してしまえる「ロックアウト」機能付きなので、平坦な舗装路などでは止めてしまえば、軽快なスピード感も味わえます。
付属パーツはエントリーグレードなので、必要十分というところですが、シマノ製が多いので安心感はあります。
ギアはフロント3速リア8速の24段変速で、本格的なトレイルライド(山に入っての散策)から、スピード走行まで幅広く対応してくれます。
また、サイドスタンドを取り付けられる台座がチェーンステイに付属していますので、街乗り車としてもカスタムできます。
重量はミドルレンジの43サイズで14.0㎏、価格は71,172円(税込)となります。
ビッグセブン20MDは最初の一台に適しているが注意点もある!
メリダのビッグセブン20MDについてお話ししてきましたが、MTB、またスポーツバイク最初の一台としては申し分のない活躍をしてくれるはずです。
サスペンション一つ取っても、トラベル量は平均的な100㎜ですし、この価格でロックアウトまで付いていればかなりコスパが高いです。
そして、メリダは本当にアルミの成形技術が高いので、頑丈な作りでもどこか軽快でスポーツバイクらしい走りをしてくれる優れものです。
ただし、一点だけ検討する際に頭に入れておいて頂きたいのは、機械式のディスクブレーキということです。
ディスクブレーキでは制動力、ブレーキタッチの軽さ、配線の取り回し、メンテナンス性など、どれを取っても油圧式の方が優れています。
以前は油圧式は高額であったため、上位モデルにしか搭載されていませんでしたが、今はコストも下がり広く普及しています。
ビッグセブンでも20MDにあと2万円ほど足せば、油圧式搭載モデルに手が届きます。
2万円はブレーキの差だけではないですが、もし将来的に機械式から油圧式にアップグレードしようとすると、確実に2万円以上の費用が掛かります。
そのため、あとからカスタムをするなら、最初から油圧式を搭載している機種にしておくという手があることも覚えておいてください。
コスパは高いがブレーキだけは再検討が必要
今回は、メリダのビッグナイン20MDをご紹介しました。
トレイルライドから普段使いまで、幅広く活躍してくれるモデルであり、アルミの扱いやすさや価格からも、最初の一台にとても適しています。
選択に当たっては、ディスクブレーキをどうするかを考えて頂ければ、最善な判断が下せるかと思います。