自転車のブレーキ、とくにロードバイクやピストバイクでよく見かけるのが「promax(プロマックス)」というブランドです。
見かける機会が多いわりにはあまりなじみがなく、どんなブランドなのかご存知ない方も多いことでしょう。
そんなpromaxのブレーキの特徴について、ご紹介します。
多くの自転車に使われるpromaxのブレーキ
ブレーキは、自転車にとってなくてはならないパーツのひとつです。
スポーツ自転車の場合、ロードバイクであればキャリパーブレーキと呼ばれるもの、クロスバイクならVブレーキ、そしてマウンテンバイク(MTB)であればディスクブレーキが採用されるのが主流です。
近年では、ロードバイクやクロスバイクでもディスクブレーキが使われるケースが増えています。
そんな自転車のブレーキには、どんなメーカーの製品が使われているでしょうか。
基本的には、変速機を中心とした「コンポーネント」のメーカー、つまり日本のシマノ製コンポーネントを採用した自転車なら、ブレーキもシマノ製であることが多くなります。
しかし、中には変速機はシマノ製なのに、ブレーキは他社の製品が使われていることもあります。
そして、そんなシマノ製以外のブレーキでよく見かけるのが、今回ご紹介するpromaxのブレーキなのです。
安価な自転車ほどpromaxの採用例が増える
promaxとは、ブレーキを中心として、自転車に用いられるさまざまな部品を製造している海外のメーカーです。
promaxのブレーキは、どんな自転車に使われているのでしょうか。
それはズバリ、安価なスポーツ自転車です。
入門用やふだんの足として使われる安価なスポーツ自転車では、なるべく完成車の価格を下げようと、どのメーカーも工夫をします。
価格を安くすれば多くの人々に買ってもらいやすくなりますし、ライバルメーカーの製品よりも少しでも安くしたい、という考えもあります。
そして、自転車の価格を下げるための工夫をするとき、ターゲットとなる部品のひとつが、ブレーキなのです。
ある程度より上の価格帯の自転車であれば、先ほどご説明したように、シマノ製コンポーネントとともにシマノ製のブレーキが採用されます。
安価なスポーツ自転車であれば、シマノの「ソラ」や「クラリス」といった入門用のコンポーネントが使われ、ブレーキも同じグレードのものを使うのが基本です。
しかし、自転車メーカーが「もっと安くしたい」という場合に使用するのが、promaxのようなシマノ以外のメーカーが製造する、安価なブレーキです。
シマノの部品は安価なグレードでもそれなりの価格がしますが、promaxのようなメーカーは、自転車メーカーの「もっと安くしたい」というニーズを汲んで、安価なブレーキを製造し、自転車メーカーに納めています。
promaxのブレーキは効くの?
さて、実際にpromaxのブレーキを使用する上でいちばん気になるのは、やはり「効くのか、効かないのか」という点ではないでしょうか。
promaxのブレーキにも、ロードバイク用のキャリパーブレーキ、クロスバイクに多いVブレーキ、そしてMTBに多いディスクブレーキと、さまざまな種類があります。
そして、その効き、つまり制動力については「値段なり」という評価を下す方が多いようです。
高いブレーキに比べるとどうしても、制動力では劣るというわけです。
これは、promaxのブレーキに限らず、他社の製品も含め安価なブレーキ全体に言えることでですが、とくにロードバイク用のキャリパーブレーキについて「効きが悪い」と感じる方が多いようです。
自転車のブレーキ性能を決めるのは、シューだけではありません。
キャリパーブレーキのアーチや、Vブレーキのアームといった部分の剛性が低いと制動力が落ちる、つまり効きが悪くなります。
promax製ブレーキの場合、とくにロードバイク用のキャリパーブレーキで、剛性不足の影響が出るようです。
ただし、製品として世の中に出ている以上「効かない」「止まらない」ということはありません。
promax製ブレーキでも、ブレーキ自体は効きます。
ただし、より高価なブレーキと比べると劣るので、ブレーキの性能を知った上で、安全運転を心がければよいでしょう。
安価な自転車をアップグレードするならブレーキから
自転車は、とても趣味性の強い乗り物です。
「少しでもいいモノを知ってしまうと後戻りできない」という方も、少なくないことでしょう。
とくにブレーキの効きは、安心して気持ちよいサイクリングを楽しむ上での「肝」であると言えます。
promaxのブレーキでも実用上の問題は生じませんが、「もっとスピードを出したい」「もっと気持ちよく走りたい」と思ったら、まずブレーキを交換してみることをおすすめします。
ビギナーの方であれば、コンポーネントやホイール、サドルやペダルなど、他にも交換したいパーツはいろいろあることでしょう。
しかし、優先順位をつけるとすれば、やはりブレーキがいちばんです。
promaxのブレーキから、シマノ製などより上位のブレーキに交換することで、自転車のブレーキはもっとよく効くようになります。
単純な「効き」だけではなく、ブレーキを弱くかけ始めてから、ブレーキレバーを強く握って自転車を停止させるまでの細かいコントロールも、上位モデルになればなるほど優れています。
ロードバイクのブレーキ交換は互換性に注意
promax製のブレーキから、他のもっとよいブレーキに交換するにあたり候補となるのは、やはりシマノ製でしょう。
ロードバイク用のキャリパーブレーキ、Vブレーキ、そしてディスクブレーキ、そのすべての種類において、シマノは安心して使用できるメーカーです。
ただし、自転車の中でもとくにロードバイクの場合は、ブレーキの交換時には、規格に注意してください。
シマノのロードバイク用ブレーキは、製品の世代によって、レバーでワイヤーを引く量が異なっており、一部の組み合わせではシマノが動作を保証していないので、互換性には注意しなくてはなりません。
具体的には「スーパーSLR」と「新(ニュー)スーパーSLR」の2種類があります。
現在、使用しているブレーキ及びブレーキレバーが、スーパーSLRなのか、新スーパーSLRなのか、しっかり把握して交換しましょう。
自分ではどちらの規格か判断がつかない場合は、決して「なんとなく」で選んでしまわずに、自転車店に相談しましょう。
promaxのブレーキにも利点はある
では、promaxのブレーキにはメリットがないのかというと、そういうわけでもありません。
まず、「なるべくお金をかけたくない」という方にとっては、promaxのブレーキが採用された安価なスポーツ自転車は、ありがたい存在です。
また、promaxのブレーキは、パーツ単体でも流通しています。
そのため、なるべくお金をかけずに自転車を修理したり、しばらく乗っていなかった自転車を再生したり、パーツを寄せ集めて自転車を組み立てたいときなども、promaxのブレーキは使われています。
先ほどもご紹介したとおり、promaxのブレーキは、シマノや他のメーカーに比べて制動力やコントロール性能に劣ることがあっても「止まらない」というわけではありません。
したがって、ブレーキの性能に合わせて安全運転を心がければ問題ありません。
また、promaxからはブレーキのシューも発売されていますが、同社のシューは比較的「キーキー」という音鳴りが少ないので、安価なクロスバイクなどの補修用部品としては有用な存在です。
決して「promax=ダメ」と切って捨てるようなものではありません。
問題なく機能するが安い完成車に付属のものは交換したい
promaxというメーカーのブレーキは、比較的安価なスポーツ自転車で、よく使われています。
自転車のブレーキとしての性能は満たしていますが、安価なブレーキですので、シマノなどの上位モデルと比較すると効きが悪い、と感じるのはしかたがないことです。
安価なスポーツ自転車を購入し、標準で装着されていたpromax製ブレーキの効きに不満を感じるようでしたら、シマノ製など、他のブレーキに交換するといいでしょう。