ロードバイクのブレーキは「コンポーネント(以下コンポ)」の中の一部品であり、完成車では基本的に他の部品と同じメーカーのものが使用されます。
しかし、コストダウンを考えなければいけない比較的安価な完成車では、ブレーキが他のコンポと違うメーカ―のものが付属していたりします。
そうなると、知っておきたいのはブレーキメーカーの評判ということになりますので、今回はメーカーを中心にブレーキを見ていきましょう。
ロードバイクのブレーキ(コンポ)は3大メーカー
コンポは自転車を駆動させるパーツと、止めるパーツの総称で、シフター、ブレーキ、ディレイラー、クランク、チェーン、スプロケット(リアギア)などが含まれます。
ロードバイクなどのスポーツバイクのコンポには、全て同じメーカーの同グレード品で統一される「グループセット」という概念があります。
そして、ロードバイクにはそのグループセットにおいて、世界3大コンポメーカーが存在します。
日本が世界に誇る自転車パーツメーカー「シマノ」、コンポにグループセットという概念を持ち込んだイタリアの老舗「カンパニョーロ」、そして無線式の電動変速など画期的なもの作りが売りであるアメリカの「SRAM(スラム)」の3メーカーです。
中でも、カンパニョーロはコンポでは高級志向路線なので、高額な完成車に付属していることが多くなります。
また、SRAMはどちらかと言うとMTBのコンポが得意なので、ロードバイクにおいては後発のイメージがあります。
そうなると、3大メーカーとは言っても、完成車のシェアにおいてはシマノが圧倒的なんですね。
しかも、初心者向けからプロレーサーが使用するグレードまで揃っているので、幅広いユーザーに対応しています。
世界最大のパーツメーカー「シマノ」のブレーキの価格
前項ではロードバイクのコンポには世界3大メーカーが存在し、中でもシマノのシェアが高いことをお話ししました。
シマノのコンポにはグレードがあることもお話ししましたが、例えばブレーキの本体価格では、最高グレードの「デュラエース」が約3万円(前後計)、最低グレードの「クラリス」が約5千円です。
こういった差の積み重ねにより、フルセットになりますと実に20万円以上の価格差があります。
全てに当てはまるわけではないですが、ロードバイクの場合は金額差=性能差と考えざる得ないところがありますので、この差は歴然です。
そして、シマノにはこの最高グレードと最低グレードの間に、あと4つのグレードのコンポがあります。
しかし、全てが上記のような顕著な差があるわけではありません。
このグレードの中では、リアの変速数が11速になる「105」からが、かなり性能が上がると評価されています。
このことから、シマノ側も105を基準に大きな差別化を図っているとも取れるでしょう。
ただし、実際に105ともなるとブレーキ本体もクラリスの倍の価格になりますので、コストダウンの対象としてクラリスが使用されることも多いです。
ロードバイクのキャリパーブレーキで注目すべき点
先ほどロードバイクには価格差=性能差と考えてやむなしとお伝えしましたが、コストダウン目的と考えられるシマノ以外のメーカーのブレーキは、性能に疑問があります。
ロードバイクのキャリパーブレーキは、本体の「アーム」が動き、アームの先に付属しているゴム製の「シュー」が車輪の「リム」を左右から挟み付けて制動をします。
シマノ製の、特に105よりも上のグレードのブレーキはアームの剛性が高く、ブレーキシューの素材の質が良いので、優れていると言われています。
剛性は物質が変形する度合いのことで、剛性が高いということは変形しにくいという意味です。
そのため、アームの剛性が高いということは、変形せずに直線的に動くので、精度は上がります。
また、ブレーキシューはゴムの質が良いとリムにしっかりとグリップしますので、大きな摩擦が起きて制動力が強くなります。
言葉で書くと簡単なのですが、これがシマノ以外のブレーキでは中々難しいことで、バランスを欠いてしまうのが現状です。
ロードバイクの「サードパーティ」メーカーとは?
ロードバイク用のキャリパーブレーキには、軽量であるということも重要な要素です。
ロードバイクはレースを前提に開発されていますので、ブレーキに限らず軽く出来るものは極力軽くするのが基本です。
しかし、軽さと剛性の高さは相反するところがあり、これを両立させるには高い技術が必要になるので、グレードが上がり価格が高くなります。
ブレーキは人の命を預かる部分ですから、どのメーカーも精度が高く優れた制動力のブレーキを作りたいところと言えるでしょう。
しかし、それには大きなコストが掛かってしまいます。
それでも、完成車は高価なものばかりではありません。
そこで、安価でブレーキなどのパーツを製造し、グループセットを持たないメーカーが出てきます。
俗に「サードパーティ」などと呼ばれています。
中には、シマノやカンパニョーロなどに匹敵するような高い技術力で、高性能な製品を作り出すサードパーティのメーカーもあります。
例えば、アメリカの「eecycleworks」というメーカ―が出している、「eebrake」は前出したシマノの最高グレードのデュラエースに対して、約半分の重量しかありません。
それでいながら非常に高い強度を感じさせるブレーキで、制動力やコントロール性の評価も高いものです。
ただし、価格はデュラエースの約2倍しますので、その価値があるのかと言われると何とも微妙なところです。
ロードバイクのブレーキ交換におすすめなのはシマノ・105
ロードバイクの完成車のブレーキですが、車体が7万円~10万円台前半ですとシマノなどの主要メーカーでも下位グレード、もしくはサードパーティのメーカーのものになります。
そういったグレードのもので、もし制動力に不安を感じるのであれば、シマノの「105」グレードのものに交換をしてみてはいかがでしょうか。
シマノの105は2018年6月に全面モデルチェンジを果たし、2019モデルの完成車では旬になっていくコンポです。
その中でもブレーキは、太めの28cまでのタイヤに対応できるようになりましたので、使える幅が広がりました。
28cのタイヤはクロスバイクにも多いサイズなので、余談ですがクロスバイクに105グレードのブレーキという選択もありです。
発売されたばかりで、まだインプレなどの評価はされていませんが、性能のダウンは考えにくいのでおすすめです。
また、これから旧モデルの在庫処分が始まりますので、品番「5800」(新105の品番はR7000)はねらい目になってくるかと思います。
ロードバイクのブレーキシューを交換してみる
前項ではサードパーティ製の安価なものや、下位グレードのブレーキはシマノ・105への交換をおすすめとさせていただきました。
しかし、ブレーキ全体の交換となれば費用が8千円~1万円は必要ですし、交換をお店に任せれば工賃でさらにプラス3千円程度掛かってしまいます。
ロードバイクのブレーキは命を預かる部分なので、お金に変えられない部分ではありますが、高価なことは事実です。
そこで、まずブレーキシューだけを交換してみるという方法があります。
ブレーキシューは金属製の台座にゴム製のシューが乗っている構造ですが、多数のものがシューだけを交換できるカードリッジ式です。
シューだけの交換であればメーカーを超えて互換性がありますし、105グレードでもかなり安価に交換が可能です。(自力交換なら部品代は千円以下)
先述通りアームの剛性も重要な要素なので本体ごとの交換がベストですが、効果を体感できるという点では、シューだけの交換でも無意味ではありません。
結論はシマノ製に行き着く!
今回は、ロードバイクのブレーキはどこが良いのかというお話をしました。
結論はシマノ製、しかも「105」以上のグレードをおすすめしました。
アームの剛性とブレーキシューのグリップ力の強さを兼ね備えながら、ある程度の価格で抑えられているシマノ製はやはりおすすめですね。