自転車には、さまざまなブレーキが使用されており、ブレーキの種類によって調整方法が異なります。
その中でも、スポーツバイクによく採用されているキャリパーブレーキの調整方法をご紹介します。
今回調整するブレーキは、ロードバイクに使用される王道のブレーキです。
キャリパーブレーキの調整方法を知ることで、多くのロードバイクを調整することが可能です。
それでは、トラブル別で後輪のブレーキ調整方法をご紹介しましょう!
仕組みを知って安全に!後輪ブレーキの仕組みとは?
まず、ブレーキ調整を行う前に、ブレーキの役割と仕組みを知っていきましょう。
自転車は、前輪と後輪とでブレーキの役割が異なります。
前輪は止まるためで、後輪はスピードを調整するためのブレーキと言われています。
自転車でブレーキを使用すると、前輪は慣性の法則によって前に行こうとしますが、止まる力が地面に伝わり、強く押し付けられます。
よって強い制動力が得られるわけですが、後輪側は体重が前重心になっているため、力が抜け気味になります。
そのため、前輪は制動力が強く止まるためで、後輪は制動力が弱くスピード調整するため、と言えます。
ただし、前輪と後輪とのブレーキの仕組み自体には、違いはありません。
ブレーキに使用するパーツは、
①ブレーキシュー(ホイールのリムに当てるゴムのパーツ)
②アーム(ブレーキシューを固定する金具部分)
③ワイヤー(ブレーキレバーから出ているワイヤー)
④ブレーキレバー(主にハンドルに設置されている、ブレーキの時に握るレバー)
上記の4つで構成されています。
ブレーキレバーを握ることで、ワイヤーがひっぱられ、アームが動き、アームに設置されたブレーキシューがリムに当たり、スピードを落とすのです。
これが、キャリパーブレーキの仕組みです。
自転車のブレーキを調整する前に!必要な工具を確認
今回、ご紹介する自転車の後輪ブレーキ調整では、ブレーキの種類により異なりますが、アーレンキーとプラスドライバーのみで調整することが可能です。
もし、ご家庭に工具がない場合は、さまざまな工具が入っている携帯工具を購入することをおすすめします。
携帯工具の中身としては、
・プラスドライバー
・アーレンキー
(2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm)
・チェーンツール
などが入っているものがあれば、「シートポストの高さを少し調整したい」「チェーンが切れた」「ブレーキを調整したい」などの、さまざまな調整を行うことが可能です。
調整する際には、自分が乗っている自転車の細部まで、よく確認してください。
使われているネジの種類や規格はどうでしょうか。
きちんと調べ、適応するサイズが備わった携帯工具を選びましょう。
自転車を乗るとき、携帯工具を持っていると便利なため、1つは持っておくことをおすすめします。
片効きしている後輪ブレーキ調整方法は?
後輪ブレーキを確認すると、ブレーキシューの位置はホイールと同じ間隔で、左右空いていますでしょうか?
自転車のブレーキは、左右のブレーキシューと、リムとの間隔が本来同じであるべきですが、さまざまな原因により、片方によってしまいます。
この状態のことを、「片効きしている」と言います。
この状態では、「片方のブレーキシューが異常に摩耗する」「ブレーキシューとリムが接触し抵抗になる」などの問題が発生します。
片効きの調整方法は、ブレーキ上部に設置されている六角ネジを回すことで、調整することが可能です。
このネジの正式名称は「センタリング調整ネジ」と言います。
自転車を後ろから見たとき、センタリング調整ネジを左に回すとブレーキが左寄りになります。
そして、センタリング調整ネジを右に回すと、ブレーキが右寄りに移動します。
ブレーキシューと、リムの間隔が左右同じ幅になるように、ネジを回して調整します。
ブレーキ調整が完了したら、通常のブレーキ操作する力で、ブレーキレバーを10回程度握り、ブレーキ本体が動いていないか確認しましょう。
後輪ブレーキの効きが悪い時の調整方法は?
自転車の後輪ブレーキの効きが悪い場合は、まずブレーキシューの減りとブレーキシューが接地するホイールのリムの部分を確認します。
ブレーキシューが減っている場合はブレーキシューの交換、リムが汚れていれば汚れの除去が必要です。
しかし、基本的にはこの2点は問題ないことが多いと思います。
それでは、何が原因なのでしょうか?
実は、ブレーキワイヤーの引きしろ調整が出来ていないことが、ブレーキの効きを悪くしている原因となっていることがあります。
引きしろのブレーキ調整は、ブレーキ本体のブレーキワイヤーを固定している、手で回せるボルトで調整することが出来ます。
一度に多く回さず、左に半回転ずつ回してはブレーキレバーを握り、引きしろを確認しながら、調整していきます。
もし、引きしろをなくしすぎ、ブレーキレバーが固くなってしまった場合は、ボルトを右に回し戻します。
ブレーキワイヤーの引きしろを調整することで、ブレーキの効きの悪さが解消されます。
ブレーキワイヤーは金属で出来ているため、ブレーキを使用することで伸びてしまいます。
引きしろ調整は「ブレーキの効きが悪くなってきたな」と感じた時に、常にその状態に合わせた調整をしていきましょう。
「キィー」となる自転車のブレーキ調整方法は?
ブレーキを使用すると、「キィー」と甲高く、不快な音が出る自転車がたまに走っていますよね。
この音鳴りの原因としてよく挙がる、3つの原因が考えられます。
①ブレーキシューに油分などの汚れが付着している
②ホイールのリム部分に油分などの汚れが付着している
③ホイールのリムとブレーキシューがフラットに当たっている
①番と②番は汚れがないか確認します。
汚れが付着している場合、専用のブレーキクリーナーか、油脂の入っていない台所用洗剤で汚れを除去します。
汚れを除去する際には、リムとブレーキシューにさらに油分が付着しないように注意しましょう。
さらに油分が付着してしまうと、音の問題だけでなく、最悪ブレーキが効かなくなり、自転車を止めることが出来なくなってしまうこともあります。
③番はブレーキシューの位置を確認します。
例えば、後輪を確認する場合、自転車後方からブレーキシューを見ると、「||」のように平行になっていませんか?
正しい位置は、リムの進行方向に対して、後ろ側のシューは0.5~1mmくらい広がっているのが正常です。
形で言いますと、「ハ」の字です。
この形を、「トー(つま先)」が内側に入っているということで「トーイン」と呼ばれています。
調整の仕方は、ブレーキシューの横に設置されている固定ネジを回すことで、ブレーキシューの位置を調整できます。
音鳴りの原因は、この3つを確認し、ブレーキ調整することで解消されます。
ブレーキ調整した自転車は、必ず試走を!
どんな乗り物でも同じですが、ブレーキは命にかかわる大事なパーツです。
調整後は必ず動作確認をし、短い距離で試走しましょう。
動作確認は、手で自転車を動かして、ブレーキレバーを握り、しっかりと止まるか確認します。
前輪と後輪のブレーキは、別々に確認し、前後各10回程度行いましょう。
この動作を行った後に、次はブレーキとブレーキシューの位置を確認します。
調整した位置からブレーキ本体、アーム、ブレーキシューは動いていないでしょうか?
調整時に、ボルトの締め忘れの確認を忘れないでください。
緩く締めた時は、調整した位置から動いてしまうため、再度調整し直しましょう。
ここまで問題なければ、実際に自転車に乗ってブレーキの動作確認をします。
「軽く漕ぎ出し、ブレーキを使用して止まる」動きを、先ほどと同様、前輪と後輪各10回程度行います。
しっかりと止まることが出来れば、ブレーキ調整の完了です。
ブレーキ調整をして、安全なサイクリングを
自転車のブレーキ調整は、作業自体は簡単なため、自分で調整することが可能です。
ただし、ブレーキは命にもかかわる大事なパーツであるため、しっかりと仕組みを理解したうえで、調整することが必要です。
今回、ご紹介したブレーキ調整は、ブレーキでのトラブルの上位を占めます。
この他にも、ブレーキによるトラブルは発生するため、無理に自分で解決しようとせず、分からない場合は自転車屋さんに持っていくことをおすすめします。
ブレーキ調整を行って、安全で快適なサイクリングを楽しんでいきましょう。