自転車のブレーキは掛けるとキーキー鳴ることがあり、中には耐えられないような音が出ることもあります。
重大なトラブルに繋がるケースもあるので、原因を追究してしっかりと対処することが重要です。
そこで今回は、自転車のブレーキがキーキー鳴る原因と、対処法についてお話していきましょう。
自転車のブレーキがキーキー鳴る代表格はママチャリの後輪ブレーキ
自転車のブレーキがキーキー鳴るのは、宿命と言っても過言ではないですが、特に目立つのはママチャリの後輪に採用されている「バンドブレーキ」です。
バンドブレーキは車輪と一緒に回転するドラムをゴムバンドで締め付けることで、回転力を制御する仕組みです。
この動作の中で、ドラムをゴムバンドで締め付ける時に音が出てしまいます。
中には「ギーィッ」という、まるで断末魔の叫びのような凄まじい音が鳴ることもあり、ブレーキを掛けるのがはばかれるほどです。
そして、厄介なのはバンドブレーキは音鳴りに対して、改善する方法が交換しかありません。
応急処置をしても、またすぐに音が鳴り出すことが多く、根本的な解決は交換になります。
また、バンドブレーキは当たり・ハズレがあるようで、鳴らないブレーキは一生鳴らないこともあると聞いています。
しかし、これはギャンブル的なことで信用はできませんので、あのキーキー音が嫌なら、最初からバンドブレーキを搭載している自転車を避けた方ががよいかもしれません。
自転車のブレーキがキーキー鳴る際の対処法で絶対にやってはいけないこと!
自転車のブレーキがキーキー鳴ることについてお話していますが、バンドブレーキも含めて音鳴りを解消する際に絶対に行ってはいけないことをお伝えします。
ご家庭でドアや窓の開け閉めの際に音が鳴ると、潤滑油(クレ5-56のような)を注すことがあると思います。
経年の間に錆び付いたり、ガタ付いて来たりしますので、それが原因の音鳴りであれば潤滑油で解消することもあります。
そのため、それと同じ感覚でブレーキに油を注したくなるところですが、これはご法度です。
後述しますが、自転車のブレーキは、車輪の金属部分をゴムや樹脂で挟み付けるようにして制動をします。
この時に生まれる摩擦によって回転が止まる(弱まる)わけですが、油が付いてしまうと滑ってしまい摩擦が起きませんので、ブレーキは効きません。
そして、チェーンには注油が必要ですが、その際もブレーキに油が掛からないように、という注釈がどこのインプレにも記載されています。
ですから、まず大前提として、ブレーキのキーキー音解消に、潤滑油は絶対に使ってはいけないということから覚えてください。
前後どちらのブレーキがキーキー鳴るかによって対処法が違う
自転車のブレーキがキーキー鳴る場合はまず、前後どちらのブレーキから音がするのかを特定しなくてはなりません。
ゆっくりとした速度で走りながら、片方づつレバーを握ってみるとよく分かります。
ママチャリは一般的に進行方向右側のレバーが前ブレーキ、左側が後ろブレーキ、ロードバイクなどは反対で、右-後ろ、左-前です。
まずママチャリの場合ですが、後ろブレーキから音がするなら先述通りバンドブレーキの可能性が高いので、自転車屋さんに直行です。
前のブレーキからキーキー鳴るようであれば、いくつかの原因が考えられます。
ママチャリの前ブレーキは「キャリパーブレーキ」で、「ブレーキシュー」というゴムが、車輪の外周である「リム」を左右から挟み付けるようにして回転を止めます。
その際にシューとリムが擦れますので、その場合に音が鳴ることが多くなります。
ロードバイクもキャリパーブレーキですし、クロスバイクのVブレーキも原理は全く同じですので、次項からまとめて解消法をお話します。
自転車のブレーキがキーキー鳴る主な原因と対処法
自転車のブレーキの前後どちらがキーキー鳴るのか特定できたら、次はリムとブレーキシューの状態を確認します。
リムとシューの間には摩擦熱が発生しますので、ゴム製のシューはその熱によって溶けてしまいます。
そのカスがリムに付くと黒い筋のようになりますが、これが目立ってくると音鳴りの原因になることがあります。
まだうっすらと見えるくらいなら中性洗剤で拭けばすぐに落ちますが、頑固にこびり付いている場合はクレンザーで軽くこするか、砂消しゴムなどで削り取る必要があります。
あとは、地道な作業ですが、工業用の砥石を使う方法もあります。
包丁を研ぐのと同じで表面を研磨するイメージで、頑固な汚れや浅い傷であればならすこともできるので、驚くほどピカピカになります。
次にシューですが、こちらは一度取り外す必要があり、六角レンチやプラスのドライバーが必要です。
シューは消耗品であり、すり減っている場合は交換の必要もあるので、長年チェックしていない状況であれば一度自転車屋さんに見せましょう。
自力で清掃する際は、表面にガラス片や金属片などが刺さっていないかを確認して、ピンセットなどで取り除いてください。
また、リムが当たる部分が固まって硬くなることがあり、それも音が鳴る原因ですので、紙やすりなどで削るとよいでしょう。
ブレーキの音鳴り対策「トーイン」とは?
前項では自転車のブレーキがキーキー鳴る際の対処法をお話しましたが、リムとシューを確認してもまだ音が治まらない場合は、シューの角度を変えてみます。
これを「トーイン」調整と言って、ハンドル側からシューを見た時に、後ろが少し開気味でカタカナの「ハ」の字のような状態で取り付けます。
物理的なことは難しくて今一つ分からないのですが、筆者の実体験からも言えますし、多くの成功例が報告されていますので、行う価値は十分にあります。
ただし、ママチャリの場合はペンチでよじる必要があるので、自力で行うのは止めておきましょう。
スポーツバイクは六角レンチと、厚さ1㎜くらいの紙やプラスチック板があれば簡単に調整できますので、行ってみてください。
手順は、まず厚さ1㎜位のものを、シューの後ろ側1/3程度のところまで差し込みます。
この状態でブレーキレバーを握りながら、ブレーキシューの固定ボルトを六角レンチで緩めます。
これでシューの位置がリセットされて、差し込んだ部分が少し浮く形になりますので、固定ボルトを締め直して、差し込んだものを抜けば終了です。
特にVブレーキは、トーインで音鳴りが解消するケースが目立ちますので行ってみて下さい。
自転車のブレーキがキーキー鳴るのはリムとシュー以外にも原因がある
自転車のブレーキがキーキー鳴る場合、大抵はブレーキシューとリムに原因があります。
しかし、ブレーキは「レバー」を引くことで掛けるものであり、「ワイヤー」が本体を動かしているので、この両者も音鳴りの犯人である可能性はあります。
極端に大きい音がすることはないですが、「キュキュッ」とした擦れ音などはレバーやワイヤーが原因かもしれません。
その場合はレバーのスプリングが劣化してワイヤーを正しく引けてない可能性がありますので、レバーとワイヤーに注油してあげると効果があります。
その際はくれぐれもブレーキ本体に油が掛からないように、一滴づつ丁寧に注油してください。
また、ワイヤーは使用していると徐々に伸びてきますので、それが原因でブレーキの効きが鈍くなったり音がなることがあります。
ワイヤーの伸びは最初の内はレバーに付いているアジャスターで調整できますが、調整が効かなくなったら寿命です。
ブレーキは命に関わる部分ですから、オーバーホールの意味も込めて、シューと同時に交換してしまってもよいでしょう。
自転車のブレーキからの異音は重大なトラブルのサインかもしれない
今回は自転車のブレーキがキーキー鳴る原因と、対処法についてお話しました。
ママチャリのバンドブレーキは音がしたら交換するしかないですが、ママチャリでも前輪や。スポーツバイクの場合はリムとブレーキシューのメンテナンスで解消することもあります。
ただし、ブレーキは乗り手の命を左右しますので、音がしたら自転車屋さんに見せて、しかるべく対処をするのが賢明ですね。