最近のスポーツサイクルに増えてきた、ブレーキシステムの一つに、シマノのディスクブレーキがあります。
これからは、このディスクブレーキを搭載したモデルが増えてくるのではないでしょうか。
ここでは、デイスクブレーキの構造と、エア抜きの必要性や、エア抜きを自分で行う場合の、作業手順と注意点をご紹介していきます。
シマノのディスクブレーキの構造
シマノ製のディスクブレーキには、機械式と油圧式のディスクブレーキが存在します。
どちらの場合にも、ブレーキレバーを握ると、ブレーキローターに取り付けられているブレーキパッドが、ローターを挟み込みブレーキを掛けます。
このブレーキパッドを操作する為に、ブレーキレバーからつながっているものが、ワイヤーであれば「機械式」と呼ばれ、オイルが充填されたホースであれば「油圧式」と呼ばれます。
その制動力は、どちらの方式でもブレーキの中ではとても強いといわれています。
また、ブレーキローター自体がホイールの中心付近に取り付けられる為、路面の泥や水の影響を受けにくい構造になっています。
油圧式の場合、ブレーキレバーを引くと油圧ホースに圧力が掛かり、その圧力を利用してブレーキパッドを出します。
そして、ホース内にエアが混入しないために、ブレーキパッドやオイルを交換した後、エア抜きを行う必要があります。
油圧式のディスクブレーキの場合、エア抜きを行わないと不具合が発生する場合があります。
一方、機械式の場合は、ブレーキレバーとワイヤーでつながれているため、エア抜きのような作業は必要ありません。
ディスクブレーキのエア抜きの必要性
仮に、シマノ製の油圧式ディスクブレーキを使用していて、エア抜きを行なわず使用していると、どのような不具合が起きるのでしょう。
まず、ブレーキレバーを何度か握っているうちに、タッチの感覚が変わります。
このため、安定したブレーキングが出来なくなります。
更に、エアーを噛んだままブレーキを掛け続けていると、オイルの温度が上がってきた時に、オイル内に残っている気泡が膨張してしまいます。
その後、突然ブレーキに圧が掛からなくなり、ブレーキが効かなくなる可能性があります。
こうなると、安全に走行出来なくなるため、オイル内のエアーは確実に抜いておく必要があります。
では、ディスクブレーキのオイル内にあるエア抜きは、どのように行えば良いのでしょうか。
シマノのディスクブレーキのエア抜きに必要な工具
それでは、エア抜きの方法についてご説明をしていきたいところですが、シマノ製のディスクブレーキでエア抜きを行う時、いったいどのような工具が必要になるのでしょうか。
実は、シマノからディスクブレーキのエア抜きに必要な物がセットで販売されています。
それは、「ディスクブレーキ シンプルブリーディングキット」というもので、注射器やチューブ、じょうご、といった普通の工具では無いような物がセットになっています。
価格は2500円程で販売されています。
この他に、アーレンキーとレンチ、新しいミネラルオイルが必要になります。
アーレンキーやレンチは、エア抜き以外のメンテナンスでも必要となるため、あらかじめ揃えておくと便利でしょう。
ブリーティングキットは、ペットボトルや、他の注射器の流用でも行なえますが、確実にエア抜きを行うために、純正セットの購入をおすすめします。
では実際に、どのようにエア抜き作業を行なえば良いのでしょうか。
シマノのディスクブレーキのエア抜きの手順
ディスクブレーキのエア抜き作業に必要な工具が揃ったら、実際に作業を行う手順のご説明をします。
まず、ブラケットですが、ブリーティング用のボルトが付いています。
このボルトを2.5mmのアーレンキーで外します。
このボルトには、Oリングが付いているため、無くさないように注意して下さい。
ボルトを外した穴に、シマノのブリーティングキットのじょうごを取り付けます。
このじょうごの中に、ミネラルオイルを入れます。
この時、空気の混入を防ぐために、充分な量のオイルをじょうごの中に入れていきます。
次に、キャリパー側に移ります。
キャリパーに付いているブリードニップルに、ブリーティングキットに入っているチューブを取り付けます。
このチューブから廃油が出てくるため、チューブの先にビニール袋をテープで固定します。
ブリードニップルのナットを緩め、古いオイルを流し、色の濃いオイルが出てくるまで待ちます。
チューブ内に気泡が無くなるまで、オイルを流します。
ここまで出来たら、ブリードニップルを締めます。
次に、ブラケット側に混入したエアを抜きます。
少しずつハンドルの角度を変えながら、ブレーキレバーを握り、じょうごに溜まっているオイルの中に気泡が出てくる事を確認します。
この作業を繰り返し、じょうごにエアーが出てこなくなるまで行います。
少しブラケットを叩いたりしながら、少しの気泡も残さず取り出すようにして下さい。
最後に、ブラケット側のボルトを取り付けます。
これで、オイル交換を含めたエア抜き作業が完了です。
エア抜きを行う時の注意点
ディスクブレーキのオイル交換と、エア抜き作業を行う時の注意点を、いくつかまとめます。
●シマノのブリーティングキットの購入
専用の道具を使う事で、作業が効率良く進める事が出来ます。
●Oリングの注意
こちらは、先ほどもお伝えしたことですが、ボルトを外す時ブラケットの上部に、Oリングが取付けられています。
このOリングが、レバー側に残ってしまう時があります。
失くさないように、確実に保管して下さい。
●オイルの量
じょうごにオイルを入れる時ですが、充分な量を入れ、溢れない程度にいっぱい入れるようにして下さい。
オイルが不足すると、エアーをホース内に送り込んでいる事になってしまいます。
また、キャリパー側にホースを取り付ける時は、確実に取り付けて下さい。
仮に、外れてしまうと、ディスクにオイルが付着してしまいます。
オイルが付着したディスクでは、ブレーキが効きません。
もし、オイルが付着したら、確実に拭き取るようにして下さい。
●ブラケット側からエア抜きを行う時、わずかな気泡も見逃さないで下さい。
少しでも混入していると、ブレーキの効きに影響を与えます。
最後に、ブラケットの上部にボルトを取り付ける時ですが、この時エアーが混入しないように、ミネラルオイルをレバー側に満たしておき、ボルトを取り付けて下さい。
以上が、エア抜き作業を行う時の注意点になります。
ディスクブレーキのエア抜きは自分でやるべきか?
シマノのディスクブレーキのエア抜きは、自分でやるべきか、それとも専門家であるショップなどでお願いすべきか、どちらを選んだ方が良いのでしょうか。
ブレーキは、走行する上で、最も重要な要素の一つです。
このため、確実かつミスのない作業を行う必要があります。
自信が無い場合は、専門のショップなどでディスクブレーキのエア抜きを行なってもらえば安心でしょう。
作業工賃の相場は、オイル交換まで含めて2000~4000円程度で出来るようです。
ディスクブレーキのオイルにエアが混入してしまう原因として、輪行などが挙げられます。
ロードバイクを持ち運ぶ時に、どうしてもディスクブレーキのオイルにエアが混入してしまうのです。
このような時のために、自分でエア抜きが出来るようになっておくといざという時、安心です。
輪行による、エアの混入があらかじめ予測出来れば、対処出来るような準備もする事が出来ます。
トラブルは、いつどこで遭遇するかは予測出来ません。
場合によっては、工具などが揃っていない場合も考えられます。
しかし、出来る限りの事は、自分でメンテナンスが出来るようにしておくと、突然のトラブルにも対処する事が出来るようになります。
ブレーキは確実に整備する必要がある
これまで、シマノのディスクブレーキのオイルに関する、エア抜きの方法から、その重要性について考えてみました。
ロードバイクのブレーキは、最も重要な性能の一つです。
このため、オイルのエア抜きは、確実に行わなくてはならないものです。
特に、自分自身でこの作業を行なう場合は、それなりの知識と装備を充実させて行うようにして下さい。
不安のある人は、無理をせず、専門家に依頼する事をおすすめします。