筆者は現在、北海道在住です。
11月も終わりごろになると、道路の大半は既に雪と氷で覆われ、いわゆるアイスバーン状態となり、普通の自転車では到底走ることが出来ない事態になってしまいます。
ですが、自動車を持っていない人間にとって、自転車は貴重な足です。
そんな自転車を冬の道でも使うには、対策が必要不可欠となります。
今回はそんな冬道対策の一つである、自転車用タイヤチェーンについて記述していきましょう。
自転車のスタッドレスタイヤもある!でも面倒?
カチカチに凍ったアイスバーン状態の道を走るには、自動車ならまずスタッドレスタイヤにする、と考えるでしょう。
実は、自転車にもスタッドレスタイヤやスパイクタイヤは存在します。
グリップ力はそこそこに高く、雪道を走るなら必要だと言わざるを得ません。
ですが、自転車のタイヤを交換するのは自動車同様、骨が折れるものです。
特に、自転車のタイヤ交換は他のパーツを外したり、専用の器具が必要だったりするなど、面倒な部分が多くあります。
ロードバイクなどの自転車なら、タイヤ交換には慣れていることでしょう。
ですが、学生さんや、ママチャリ自転車に乗っている方で、自転車のタイヤ交換をしたことがある人はおそらく、そう居ないと思われます。
そもそも、やり方すらピンとこないという人も、多いことでしょう。
更には、専用のタイヤを買わなければならないので、経済的にも負担となってしまいます。
自動車はない、自転車がないと不便、でもお金はない…そんな人たちの悩みを解消するかもしれない、タイヤの上からつけるだけのタイヤチェーン、というアイテムはあるのでしょうか?
アイスバーン対策には装着式自転車用タイヤチェーン?
タイヤチェーンと言えば、筆者を含む皆様が思い浮かべるのは「タイヤに巻く形式」のものでしょう。
ですが、その形式のものは現在、デザイナーであるCesar van Rongen氏が個人的に制作した「Bike Spikes」のみしかありません。
「Bike Spikes」は簡単に着脱可能な自転車タイヤチェーンで、6つのゴム製パーツをタイヤに巻きつけ、留め具でしっかりとタイヤに固定して使うものです。
びっしりと打ち付けられたスパイクが雪道をガッチリと噛んで、もしも、つるつるした路面の上を走ることになったとしても、タイヤの空転を防いでくれます。
しかし、現在、開発段階のようで、一般的に通販などはしていないようです。
Youtubeに上がっていた動画も、二年前を最後に更新が停止しているため、もしかしたら、プロジェクトは頓挫してしまったかもしれません。
そのため、アイスバーン対策に装着式タイヤチェーンを使うのは、実質不可能だと言わざるを得ません。
チェーンがないなら自作する方法もある?
自転車用のチェーンが売ってないならば、自作してしまうのはどうでしょう。
ステンレスワイヤーΦ1mmを8m、ステンレスチェーンΦ2mmを8m、結束バンドとアルミスリーブ70個程で作れます。
ステンレスチェーンをワイヤーで繋いで、アルミスリーブで固定して、タイヤに巻きつけて結束バンドで結ぶだけで完成です。
そして、つけるときは結束バンドで纏めるだけで、外すときは結束バンドを切ってしまえば、簡単に外れます。
ワイヤーとチェーンで造られているので、持ち運びも楽で、コンパクトに畳んで持ち歩くことが可能です。
ですが、これはかなり簡易的なものですので、雪がほぼ解けた状態ではまだしも、北海道のように、北国でバリバリアイスバーンでは、辛いかもしれません。
更には、意外に材料費が高く、上記の材料を揃えるだけで3000円以上かかってしまいます。
お手製のために自由は利きますが、北海道の地方都市などの雪深い片田舎では動作が保証できません。
ですので、ここでご紹介した方法は、雪道とはいってもアイスバーン状態まではいかない場合にお試しください。
雪道対策にスプレー式チェーンは有効?アイスバーンには?
それでは、どうすれば雪道を比較的安全に走れるのでしょうか。
ここでご紹介するのは、「スプレー式タイヤチェーン」です。
タイヤに吹きつけるだけでいいので簡単ですし、自動車が時速70kmで走ったとしても、そのグリップ力は保証されているようです。
更には、自転車用のものを探す必要がなく、自動車用のものをホームセンターやカー用品店などで調達して使うだけで良いので、非常にお手軽なのも利点です。
調達も簡単な上、スプレーなので携帯可能であり、一本持っているだけで、突然降って積もった雪にも対応可能です。
北国の田舎道などで、やむを得ずアイスバーン状態かもしれない雪道を走らなければいけなくなった際にも、少しは安心して走れます。
値段はやや振り幅が大きいのですが、ネット通販で、およそ一本1100円あたりから3000円くらいとなっています。
多少、割高ですが、スプレーするだけで簡単な上に何度も使用でき、手に入れやすくて持ち運びも簡単、というのは非常に大きな利点となるでしょう。
何より、先ほどご紹介した自作チェーンのような手間がないというのも、利点の一つとなっています。
アイスバーン相手にも有利なスプレー式チェーンのデメリット
スプレー式チェーンの主な成分は樹脂やガムベースになります。
その、べたべたした成分がアイスバーン状態の地面とタイヤを一時的に接着し、グリップ力を増加させる、とされているのです。
タイヤにサッと吹きかけるだけでグリップ力を付与できるので非常に便利ですが、保管期間は4年から5年くらいまでしかありません。
それ以上になると、樹脂やガムベースが劣化し、粘着力が弱くなってしまい、使う意味がなくなるのでしょう。
それから、スプレーはあらかじめ暖かい場所に置いておかないと、スプレーの成分が冷えて固まり、ノズル詰まりの原因になってしまいますし、スプレーの成分によっては、タイヤにシミをつくってしまうこともあります。
タイヤにベタベタした成分が残ってしまうこともありますし、更にホイールに付着すると、成分的な問題で水では落ちにくくなります。
それに、いくら便利なスプレー式チェーンでも、ふわふわ雪などの対応できないような雪道があることも覚えておいた方が良いでしょう。
結局、自転車用チェーンは使った方が良い?
結論を言うと、結局のところ自転車用チェーンは、あくまで急なアイスバーン相手の応急処置、ということになります。
冬道を長く走るご予定があるなら、スプレー式チェーンよりも、巻くタイプのチェーンよりも、出来るだけタイヤをスタッドレスタイヤやスパイクタイヤにしてしまった方が良いのです。
本当に短距離しかアイスバーン道路を走らないなら、スプレー式チェーンなどをつかっても良いのですが、そうでないならタイヤ自体を交換してもらった方が確実と言わざるを得ないでしょう。
通勤や通学など、定期的に自転車を使うのなら、タイヤ交換するか、ご家族にスタッドレスタイヤを履かせた車で送ってもらった方が安全です。
くれぐれも、チェーンでは対応できない雪道やアイスバーン道路などもあることを念頭に置いておきましょう。
また、もちろんタイヤを変えたとしても、全く滑らない、なんてことはありません。
滑らないことを過信し過ぎては事故を招きますので、ご注意ください。
短距離、短時間ならスプレーで対応!それ以上ならタイヤ交換
北海道在住の筆者としては、正直なところ、雪道では自転車に乗らない方が良いと考えています。
どうしても乗らなければ生活が成り立たないのなら、短距離・短時間だけの走行ならば、自動車用スプレー式チェーンをタイヤに吹きかけ、グリップ力を増加させるのも良いでしょう。
もし、長距離・長時間乗らなければならないのなら、いっそのことタイヤを変えてしまうことをおススメします。
無理な自転車のご使用は事故に繋がりますから、ご注意くださいませ。