ロードバイクなどのスポーツ自転車に慣れ、ある程度乗れるようになってくると、初めは難しそうだと感じていたビンディングペダルにもだんだんと興味が出てきますよね。
今回は、ビンディングに欠かせないクリートに焦点を当て、クリートとは何かというお話しから始めていきます。
また、ヒルクライムに挑戦する場合、どの位置にクリートを付けるのが良いのかについてもご紹介します!
クリートとはどんなもの?
スポーツ自転車に慣れてくると、ヒルクライムなどの自転車レースに出たくなりますよね。
そうしたレースに出るような方は、ほぼ、ビンディングペダルに慣れています。
ですが、初心者がビンディングペダルにするには、様々な準備が必要です。
まずは、ビンディングペダルについての知識をつけましょう。
ビンディングペダルに挑戦するには、もちろん、ビンディングペダルを購入し、交換します(お店で交換してもらう人もいるでしょう)。
それ以外に、シューズもビンディングシューズにする必要があります。
そして、ビンディングペダルと、ビンディングシューズを繋ぐ役割をしてくれるパーツである「クリート」の購入も必要になります。
クリートは、シマノなどのメーカーから出されていて、ビンディングシューズに取り付けて使います。
クリートは、付ける位置が変わると、使う筋肉に違いが出るのが特徴で、クリートの位置を変えれば、自然と、自転車を漕ぐときのフォームも変わってきます。
ですので、スポーツ自転車にビンディングペダルで乗る人にとって、クリートは、走りに大きく影響する重要なパーツなのです。
クリートを初めて付ける場合、最適な位置はどこ?
では、初めてクリートを付ける場合は、ビンディングシューズのどの位置に付けるのが良いのでしょうか。
クリートは、初めは大抵、「母指球と小指球を線で繋ぎ、その中心がペダルの中心に来る」ように付けることが多いです。
お店の人に相談しても、ペダルの回しやすさを第一に考え、前の方に付けることをすすめられることが多いでしょう。
前に付けるとなぜ回しやすいのかというと、
・クリート自体の位置が前に来ること
・母指球に力を入れやすい
ことが関係しています。
ビンディングペダルに慣れるまでは、ヒルクライムなどのレースに出ることもないでしょうから、お店の人の言う通り、前の位置に付けて練習してみて下さい。
しかし、クリートは、人によって最適な位置が違います。
また、漕いだときの感覚も人によって違うので、「こういう体型の人にはこの位置がベスト」というものもありません。
同じ位置にクリートを付けても、それがピッタリはまることもあれば、漕ぎにくさや疲れに繋がってしまうこともあるのです。
ですので、ビンディングペダルに慣れたら、クリートの位置を変えて乗ってみて、自分にとっての最適な位置を探すのがおすすめです。
また、サドルの高さやステムの高さが変わったときも、クリートの位置に違和感を覚えることがあるので、自転車のパーツを変えたときは、クリートの位置も見直しましょう。
クリートの位置が前であることのデメリットとは?
先ほど、クリートを初めて付ける場合は、前の方に付けることが多いとお伝えしました。
クリートの位置が前だと、ペダルを回しやすいというメリットがあるのは確かですが、デメリットも存在します。
まず、ギアが重くなってトルク(回転力)がかかってくると、脚(特にふくらはぎ)に負担がきます。
それは、クリートの位置が前にあるために、ペダルを踏む力が逃げやすいことが関係しています。
踏む力を逃がさないために頑張ることで、脚に負担がきてしまっては、長距離のライドは辛くなりますし、自転車レースなどに出ても勝てませんよね。
ですので、脚が辛いという人は、クリートの位置を見直してみて下さい。
また、長い距離を走ったり、ヒルクライムのレースに出たい場合も、クリート位置を変えてみましょう。
これらの場合、ビンディングシューズに付けたクリートを後ろに下げます。
母指球ではなく、土踏まずの前あたりに付けるイメージです。
こうすると、足首が安定して、トルクが増すはずです。
そのため、前の位置に付けていたときより、漕ぐ力も上がります。
そして、脚を見てみると、ふくらはぎではなく、太ももの筋肉がよく使えるようになるので、漕ぐ際の負担も軽くなることでしょう。
ヒルクライムとはどんな競技?ベストなクリートの位置は?
さて、先ほどから出てきているヒルクライムという言葉ですが、これについてご説明しましょう。
ヒルクライムというのは、自転車レースの一つです。
山道で行われるレースなので、平坦な道だけでなく、坂も上っていきます。
そのため、ヒルクライムレースで上位を狙うには、クリートの位置が重要なのです。
何度もお伝えしているように、ヒルクライムをするなら、クリートは後ろに下げておきましょう。
位置としては、土踏まずあたりにするのがおすすめです。
クリートを下げることで起こるデメリットとしては、
・ケイデンス(回転数)が落ちる
・母指球あたりに力を入れて漕ぎたくなる
・サドルを下げて乗る場合もあり、見た目があまり良くない
といったことがありますが、それでも、
・太ももの筋肉を意識して漕げる
・脚(主にふくらはぎ)が辛くない
・ダンシングするのが楽
などのメリットの方が大きいでしょう。
こうしたメリットが、坂を上る際に活きてきます。
ですが、「クリートの位置だけでそんなに大きく変わるのか」と疑問を抱く方もいると思います。
ですので、次の章では、クリートを後ろにすることで、実際にどんな変化が出るのかについてお伝えします。
クリートの位置を変えると本当にヒルクライムで上位が狙える?
ここまで、ヒルクライムにはクリートの位置を変えるのが効果的と繰り返しお伝えしてきました。
では、実際に検証してみました。
今回、ヒルクライムの練習場所として選んだのは、岐阜県・二ノ瀬峠です。
ここは、ヒルクライムの練習をするのにおすすめの場所で、筆者も何度も来ています。
では、まずクリートを後ろに下げて、土踏まずの位置にします。
こうすると、脚が今までよりも前に出ることになります。
この状態でペダルを回し、走ってみましょう。
すると、今までお伝えしてきた通り、加速するスピードが速くなりました。
平坦を走るのに必要な、巡航速度(30km/h)も以前より楽に出せます。
あまりの快適さに、「下り坂なのではないか?」と思ってしまうほどでした。
そして、心拍数も見てみると、今までより下がっています。
やはり、クリートを下げたことが速さに関係しています。
クリートを下げると、脚が前に出るので、サドルの位置が前になります。
そのため、脚も適切な位置に持ってくることができ、楽で効率的なペダリングが可能になったと思われます。
ですが、平坦な道でペダルがよく踏めるからといって、あまり踏んでいると、坂で疲れがくるので注意が必要です。
ヒルクライムは坂が勝負!クリートの位置一つで速く上れる
ヒルクライムという競技では、坂を上る必要があるというのは先ほどお伝えしましたね。
ですが、自転車に乗って坂を上るには、テクニックが必要です。
この二ノ瀬峠も、街中の平坦な道が終わると勾配が上がります。
そして、中間地点を過ぎると、きつい坂に入っていきます。
平坦な道を走っているときは、体力を温存する走り方で良いのですが、ヒルクライムでは坂の上り方でタイムに差が出ます。
ですので、坂でのペダリングをマスターすることも、ヒルクライムで勝つためには重要です。
平坦な道を走るときと同じ姿勢で坂を上ろうとすると、重心が後ろになり、速さが出ません。
そのため、重心をできるだけ前にして上っていきます。
ですが、クリートの位置を下げているので、それほど疲れずに漕ぐことができます。
そして、ゴール後にタイムを見てみると、前回より数十秒ほど縮まっていました。
数十秒の差ですが、ヒルクライムでは、かなりの違いです。
やはり、クリートの位置を後ろにする効果は大きいということですね。
平坦な道も楽に漕げて、坂も速く上れるので、ぜひ、試してみて下さい。
私自身、今回の二ノ瀬での練習で、「クリートの位置を後ろに下げるだけで、これほど走りが変わるのか」と実感することができました。
練習を重ねてヒルクライムで活躍しよう!
今回は、ビンディングペダルに欠かせないクリートをメインに、その特徴や、初心者におすすめの位置などをお伝えしました。
慣れるまでは前に付けますが、長距離ライドやヒルクライムをする場合には、クリートを後ろに下げるのがポイントなのですね。
また、ヒルクライムに必要なテクニックについてもご紹介したので、ヒルクライムレースで活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。