mtbに限らず、スポーツ自転車のステムはハンドルを支持し、フォークのコラムを固定するという極めて重要な役割を担っています。
また、ハンドルとコラムの径に合わせなくてはいけませんし、mtb用には悪路走行に耐えられるように、強度の高いものもあるので種類が多くなります。
そこで今回は、mtbのステムの選び方についてお話しましょう。
ママチャリとmtbではステムの選び方が違う
自転車はハンドルを直接フレームに突き刺すわけにもいかないので、どんな車種でも必ずステムが必要です。
ステムには2種類ありますが、選び方は自転車の種類によって違います。
ママチャリはフロントフォークから伸びたステアリングコラムに長く伸びたステムを差し込み、ステム頂上にあるボルトを締めていくと、ステムの下端にある臼(ウス)が引き上げられて内側から固定されます。
この方式はスレッドステムと呼ばれ、以前はmtbにも採用されていました。
しかし、やや固定が甘くなるので、今では、ほぼママチャリにしか使われていません。
軸長が長いため、ハンドルの高低を幅広く調整できるのがメリットです。
一方、スポーツ自転車はステアリングコラムを、横から挟み付けて固定するアヘッドステムを使用しています。
さらに、ステアリングコラムの中に固定されているナットに、上からアンカーボルトで締めることで内部から固定しています。
mtbやロードバイクのステムの選び方①サイズ規格
mtbなどのスポーツ自転車の主流となっているアヘッドステムはハンドルを支持する役目と、フロントフォークのステアリングコラムを固定するものです。
そのため、選び方の基本は、それぞれのパイプの直径と合わせることになります。
フォークのステアリングコラムのクランプ径は25.4mm(1インチ・ノーマルサイズ)か28.6mm(1-1/8インチ・オーバーサイズ)ですが、現在は、ほとんどが28.6mmです。
そのため、現在ではコラム径が25.4mmであっても、スペーサーをかまして28.6mmのステムを使用するのが一般的です。
また、自転車メーカーが独自の規格として採用している31.8mmや38.1mmのサイズもありますが、サイクルショップに在庫がないことが多いので、取り寄せ対応になると思います。
ハンドル径は当然ながら、ハンドルの太さに関係してきます。
mtbやクロスバイクなどのフラットバーハンドルには細めの25.4mm(1インチ)。
ロードバイクでもクロモリフレームなど、細身のシルエットに合うのが26.0mm。
そして、現在の主流である31.8mmなどがあります。
ほぼ、この3種類だと思いますが、こちらもメーカー独自規格があるので、注意してください。
mtbやロードバイクのステムの選び方②長さと角度
自転車のステムのサイズの選び方は上記のようになりますが、ここまでは自分の自転車のフレームやハンドルによって定められている規格なので、自由に選べるわけではありません。
サイズが決まったら、ここからは選択の余地があります。
まず、長さを意識しましょう。
突き出しとも言われるステムの長さは、ハンドルの位置を決める重要な要素です。
長ければハンドルは自分から遠ざかるので、前傾姿勢がきつくなりますし、短ければ上体が起きることになります。
長いもので150mm、短いものだとハンドルのクランプ部とコラムのクランプ部が、ほぼくっついているようなものもあります。
また、ステムには角度が付いています。
水平から起き上がるように角度が付いていれば、ハンドルが高く、自分に近付いてくるので、楽なポジションになります。
逆に寝ていけば、ハンドルは下がって遠ざかるので、前傾姿勢になります。
そのため、前傾姿勢にこだわりたいロードバイクは、長めで角度が下がり気味のステム。
ハンドルのコントロール性を重視したいmtbや、アップライドな姿勢が基本のクロスバイクは、短めで直角に近いくらいのステムを使うのが一般的です。
mtbには突き出しが短いステムが合う
上記の角度の話と関係してきますが、アへッドタイプのステムは、上下をひっくり返して使うことができます。
そのため、角度がきついと思ったら、ひっくり返してアップライドな姿勢にすることも可能です。
角度が変えられるアジャスタータイプもありますが、まず天地をひっくり返すことを試してみるのも良いと思います。
また、どうしてもハンドルが遠いと感じている人は、突き出しの短いステムをおすすめします。
特にハンドルで車体を地面に押しつけるような感覚で走るmtbは、突き出しの短いステムの方が、操作性は格段に上がります。
具体的な商品をご紹介しておきますので、選び方の参考にしてください。
【TIOGA(タイオガ):X Cube ステム】
参考価格:¥4,200
バークランプ径は25.4mmなので、mtbのハンドルに適合すると思います。
突き出し長が27.5mmしかありませんので、かなりハンドルが身体に近付きます。
特にダウンヒルの競技などでは、短いステムが有効になってきます。
ステムは自己満足の世界
ここまで、mtbを中心にステムの選び方をご紹介してきましたが、ステムはいざ選ぶとなると、意外にも高額なのに驚かれるかもしれません。
もちろん、ハンドルのサイズありきで選ぶので、ある程度は仕方がないのですが、特に有名なメーカーのものなんかは高額です。
アメリカのEASTON(イーストン)はホイールからハンドル、ステムまで手掛ける有名なパーツメーカーですが、ステムはほぼ1万円を超えるようなものばかりです。
高いか安いかは個人的な価値観の違いにもよるので、何とも言い難いところですが、個人的には少し高いかなと思います。
クランプ径が合っていて、突き出しの長さも角度も最適だったのが、たまたまイーストンのステムということであれば、当然否定することはありません。
何が言いたいかというと、ステムはハンドルの位置を自分好みに近付けるものですから、自己満足の世界だということです。
ですから、あまり価格に左右されず、あくまで自分に最適なものを選ぶのが、重要ではないかと思います。
ヘッドパーツの選び方も重要
mtbなどのステムは、フロントフォークの固定の役目があることは先述した通りです。
フォークがハンドルからの指示で、自転車のかじ取りをするためには、ステムを正しく取り付けなくてはいけません。
正しくは、ステムと、それに付随するヘッドパーツの選び方が重要です。
中でも、ベアリングのグリスアップと玉あたり調整が重要です。
もし、フォークの交換も考えているようであれば、コラム内部へのスターファングルナットの圧入が大変なので、アンカーボルトをカートリッジ式にするのがおすすめです。
アヘッドステムはコラムに打ち込んであるスターファングルナットに、上からアンカーボルトで締めることで、コラムが持ち上がり固定されます。
しかし、スターファングルナットは圧入したら最後、取り出すのが、とても困難です。
また、まっすぐ打ち込むのにも技術がいるので、簡単な作業ではありません。
その点、カートリッジ式はコラムにカートリッジを挿入するだけなので、手間は全く掛かりません。
今までのアンカーボルトはそのまま流用できますし、カートリッジは1,000円前後で購入できますので、おすすめです。
ステム選びはサイズを基本に長さと角度に注意して
ステムは何より長さと、角度が大切です。
スポーツ自転車は、1cm位置が変わっただけで、受ける感覚が違ってくる繊細なものです。
ハンドル位置を大きく左右するのがステムですから、慎重にじっくりと選んで欲しいと思います。