自転車はもちろんの事、全ての車両と呼ばれる乗り物に於いて、最重要と言っても過言ではない機能の1つがブレーキです。
一部の特殊な機構を持つブレーキ機能は別として、大体の自転車のブレーキは前輪と後輪に分かれています。
今回はその中でも後輪のブレーキをピックアップし、どういった種類の物があるのか、故障した場合の対処、その他のちょっとした雑学をご紹介します。
後輪のブレーキの種類にはどういった物があるか?
普段から自転車を常用している人でも、前輪のそれとは違い、後輪のブレーキを乗っている最中に見る人は少ないのではないでしょうか。
自転車の後輪ブレーキの種類は、大きく分けて3つあります。
●バンドブレーキ
最も一般的に使われているブレーキで、車輪の根元のドラムをバンドで外側から締め上げてブレーキをかける機構です。
●サーボブレーキ
基本的な構造は「バンドブレーキ」と同様ですが、こちらは外側からではなく、内側から押さえつけてブレーキを効かせる物です。
●ローラーブレーキ
これは上の2つと比べて高性能で、電動アシスト付き自転車や変速ギアの付いた自転車に装備されているケースが多いです。
「バンドブレーキ」「サーボブレーキ」「ローラーブレーキ」は、左から右に行くにつれてブレーキの質が良くなっていきます。
また、ブレーキの質がそこまで良くないと、音鳴りなどがしやすいです。
それでは、次ではこの自転車のブレーキから鳴る音について触れていきましょう。
自転車の後輪から鳴る音について
自転車に乗っている際、左グリップのブレーキ、つまり後輪のブレーキをかけた時に、あたり一帯に響き渡る大きな摩擦音を経験されたことはないでしょうか。
実はこの音、上記でご紹介した「バンドブレーキ」による音なのです。
「バンドブレーキ」は比較的安価な自転車によく使われており、摩擦音に関しては、1度鳴り出すと、それが自然に解消されることはほぼありません。
ブレーキの中を分解し、中にあるバンドを粗く磨けば、一時的に音が軽減するケースもありますが、あくまで一時的な措置と考えた方が良いかもしれません。
さて、ならどうするのが良いのでしょうか。
おすすめしたいのは、「サーボブレーキ」への交換です。
「サーボブレーキ」は、ドラムに半円型のブレーキシューと呼ばれる部品を外側に押し付けてブレーキングするようになっており、構造上「バンドブレーキ」に比べ、かなり音が解消されるはずです。
もちろん自分で交換することも可能ですが、最寄の自転車屋さんなどでの交換が確実だと思います。
お店にもよりますが、工賃込で3000円前後での交換が可能なはずです。
音だけで無く、制動力も上がりますので、是非検討されてはいかがでしょうか。
自転車のブレーキがかかりっぱなしに?
「あれ?急に自転車が進まなくなっちゃった!」
こんな経験をされた方はいらっしゃいませんか。
症状の感じ方は、人それぞれで突然後ろに人が乗ったように感じたり、場合によっては、いきなり後ろに引っ張られたと感じる方もいるようです。
これは「サーボブレーキ」で時々発生するもので、自転車の後輪ブレーキに使われている、ブレーキシューの磨耗が原因なのです。
ブレーキシューがドラムと摩擦し減っている部分と、摩擦していない部分とで段差が付き、この段差がドラムの淵に当たってしまい、シューの戻りがスムーズにいかなくなった時に発生します。
結果、常にブレーキをかけた状態となってしまうわけです。
これを解消するには、ブレーキを1度分解し、ブレーキシューの段差が無くなるよう削ることで解決しますが、修理にはそこそこの手間がかかってしまいます。
ですので、やはり自転車屋さんなどで修理をするか、ブレーキ部品の交換をお願いするのが確実でしょう。
高性能な後輪ブレーキの名は「ローラーブレーキ」
前述の3つのブレーキの中で、最も高性能な自転車の後輪ブレーキが「ローラーブレーキ」です。
グリスの入った密閉ケースの中で、扇形のブレーキシューを3つ、外周の回転金属容器に押し付ける仕組みになっており、専用のグリスとローラーの効果で、「バンドブレーキ」で出るような摩擦音が鳴らず、穏やかなブレーキングが可能となっています。
また「ローラーブレーキ」には磨耗部品が存在せず、かなりの長期間品質を保ったまま稼動することが可能となっています。
ただ一部では、急制動に向かず、急ブレーキ操作などでは安全面に問題があるとの指摘もあるようです。
しかしながら、通常運転をする分には何の問題も無く、快適な使用ができるのは間違いないでしょう。
「ローラーブレーキ」を使う際に注意しておきたいのは、メンテナンスです。
ブレーキング時の摩擦熱で、中のグリスが徐々に減っていきます。
このグリスが切れてしまうと、ブレーキの際に音が鳴ったり、制動力が弱まる恐れがあるので、これらの症状を確認したら、できるだけ早くグリスの補充をすることをおすすめします。
グリスの補充は、ドラムにある穴から行うことができます。
もちろん、自分でメンテナンスされても結構ですし、自転車屋さんでお願いしても大丈夫です。
また、グリスは、できるだけ純正の物を使用されることをおすすめします。
もし「バンドブレーキ」や「サーボブレーキ」から「ローラーブレーキ」への交換をお考えの場合は、後輪のホイールごと入れ替える必要があるので、その点もご注意ください。
実は自転車の安全に重要な後輪ブレーキ
ブレーキにも種類があり、ママチャリのグレードによっても取り付けられているタイプが異なります。
当然高価なママチャリになっていけばなっていくほど、それ合わせてブレーキなどのパーツの質に変化があります。
しかし、先ほどご紹介した3つのブレーキ全てに言える、ブレーキのかけ方があります。
そこで、ブレーキのかけ方について、簡単にご説明していきましょう。
子供の頃に「自転車のブレーキは後輪から」と教わった方は、多いのではないでしょうか。
年齢を重ね、自転車にも慣れ親しむにつれ、そういった基本的な事は忘れがちになってしまいますが、実はこれ、とっても重要なのです。
とは言っても、大多数の方が無意識の内に安全なブレーキングを心がけていらっしゃるのがほとんどです。
さて、ではなぜ後輪のブレーキからかけるのが良いとされているのでしょうか。
まず、基本的に二輪車は後輪のブレーキよりも、前輪のブレーキの方がよく効くようにできています。
つまり、同時に同じ力でブレーキをかけた際、先に車輪がロックされるのは前輪になってしまいます。
また、自転車の乗っている時の重心は想像以上に上の方にあるため、最悪自転車ごと前へつんのめってしまうのです。
そういった事情もあり、自転車に於けるブレーキングの基本は、前輪のブレーキに頼るのではなく、後輪のブレーキで速度を調節した後、前輪のブレーキをかけて停車するのが合理的というわけです。
もちろん、不意なことで急停車をしなくてはいけないとなったら、そういうわけにもいかないでしょう。
そういう場合は、必ず車体を立て、直進状態で行い、可能な限り重心を後ろに引いてブレーキングしてください。
自転車ブレーキの前輪と後輪の左右振り分け
ブレーキのかけ方を後輪のブレーキをかけてから、前輪のブレーキとお伝えしました。
このブレーキをかける際に、ブレーキレバーは、右側が前輪で、左側が後輪となっています。
ママチャリに乗ったことのある方は、知っていることでしょう。
大体の自転車のブレーキはそうなっています。
そこで、何故ブレーキレバーとの関連性がこのようになっているのかをご説明していきます。
これは日本工業規格JISで定められているからなのですが、その理由は日本に初めて輸入された自転車が、たまたま右のブレーキが前輪に割り当てられていたからと言われています。
以降、日本で作られる自転車に関しては、右のブレーキが前輪、左のブレーキが後輪がスダンダードとなり、ブレーキに使われるワイヤーをより効率良く通せる構造が基本となっていったのです。
ただ、競技用や欧米などの自転車はその限りではなく、ブレーキの左右が逆となっています。
当然ワイヤーを通す構造も、いわゆるママチャリとは異なっており、これはおそらく最初に手本となった部品が欧州の物だった事が関係しているのではないかと言われています。
競技用を常用しようと検討されている方は、とっさのブレーキングをする際にしっかりと構造を把握して、安全に使用してください。
正しい付き合い方で確かなブレーキを
いかがでしたでしょうか?
後輪のブレーキはとても重要なパーツだということは言うまでもありません。
使い方をご説明したとおり、使い方を後輪ブレーキから行うことで、不意の事故も減らせる可能性が高いです。
また、メンテナンスをしっかり行うことで、ブレーキに関する問題が発生することも少なくなるでしょう。
日常的に自転車を使っている方はもちろん、たまに自転車に乗る人も、今一度ブレーキに異常が無いか、確認されてみてはいかがでしょうか?
正しい使い方や付き合い方で、より確実な安全へと繋げていけると良いですよね。