道交法違反自転車の取り締まりが厳しくなったのはご存知のとおりです。
その一つに、自転車の歩道走行があります。
ですが、車道を走るスペースがないと危険で、車にはねられる事故も多発しています。
法律を守りながら安全を確保するにはどうすればいいのか考えてみましょう。
自転車が車道を走るようになった背景
最近は車道を走る自転車が増えた気がします。
それもそのはずで、今現在は自転車が歩道を走る事をかなり厳しく取り締まる風潮になっているからでしょう。
確かに自転車は道路交通法上車両に分類されるため、車道を走る事が義務付けられてはいます。
しかし、自動車を運転する立場からすると、危険な場面が多いのも事実です。
当たり前の話ですが、自転車は無防備です。車道においての立場は低いとされます。
従って万が一事故が起これば責任はほぼ100%自動車側が負う事になります。
しかし、果たしてこれでいいのでしょうか。
自転車とはいえ、ロードバイクにでもなれば時速40㎞~50㎞は出ます。
こんな速度で走る車両が無防備で不安定では、危険極まりないのも当然ではないでしょうか。
そんな背景も踏まえてか、近年は自転車専用道路の設置を進める地域も増えています。
ただし現段階では、自動車側の自転車への理解を求めるのが難しい状況であるため、危険な状態は続くと思われます。
歩道で起こる自転車と歩行者の危険な事故
自転車が制限つきながら歩道の走行を認められるようになった昭和40年代から、歩道での事故が多発するようになりました。
もちろん、自転車と歩行者の事故が多いのですが、実は対自動車の事故も見逃せません。
歩道を走っている自転車に気づかず、交差点で出会いがしらに接触してしまう事故が多いのです。
歩道との間にあるガードレールや柵が途切れる交差点で、突然自転車が飛び出してくるような感覚になります。
この状態はとても危険な状態です。
ちなみに自転車の所有者にアンケートを取ったところ、車道の左側を通行しなければならないと分かっている人は80%を超えているそうです。
一方で歩道を通る時のルールに関しては、車道寄りを徐行すると認識している人は50%弱と低く、歩道における事故率の高さは、この周知率の低さが原因と言えなくもありません。
車道側を通る事で車からの認知度を高めると同時に、歩行者へも配慮する事が大切なんです。
また、ルールの認識が甘い事も見逃せず、しっかりと周知徹底が必要です。
自転車の車道走行で起こる危険な事故
自転車が歩道を走る危険性についてお伝えしたところで、原則を守り車道を走るとしての注意事項を再確認しておきましょう。
自転車側は、左側通行の徹底を行うことです。
法の改正前は右側走行が可能であったため、今でも右側を走っている人を良く見かけます。
しかし、これが自転車事故の約半数を占める出会いがしらの大きな原因になります。
例えば車庫から出ようとして車が来る方向には目をやりますが、逆方向から走ってくる自転車は死角になったりして衝突してしまう危険性があります。
おさらいすると、自転車は自動車と同じく車両扱いですから、原則車道を通行しなくてはなりません。
そして、車道の左端に沿って通行するという規定もあります。
ですから、もし右側を走っていて事故に合った場合は、自転車側の責任も問われてきます。
ちなみに日本の自転車関係の事故は、交通事故全体の約2割で先進国では最悪だそうです。
この数字を見ても分かるように、自転車の車道左側通行の周知徹底を図らなくてはいけない状況なのです。
自転車のマナーの悪さが原因で増す危険
自転車は原付やバイクと違って後方を確認するミラーがありません。
ですから、後ろを確認せずにいきなり進路を変更したりする事があるので、事故につながりやすいと言えるでしょう。
また、二輪車は基本的に不安定ですから、フラついたりしますし、車の圧力でよろめいて転んだりもします。
車道における自動車と自転車の共存は大変難しいと言わざる得ません。
もし、自分が車道を自動車で走っているとして、前にいる自転車を追い越さずに走っていたらどうなるでしょうか。
後ろにいる車からクラクションを鳴らされっぱなしになるでしょうし、追い越しOKの区間ならバンバン追い抜かれて危険極まりない状況になるでしょう。
やはり、根本的なスピードの違いがあるため、自動車は自転車をどこかで追い抜いたり、横を通り過ぎなければいけないわけです。
しかし、そこで事故が起こる危険性が増えているのが現状です。
自転車と歩行者の事故の原因を、自転車の歩道通行ばかりと考えてはいるものの、自転車が車道を走ることになった結果が、対自動車の事故多発にも繋がってしまっているとも言えなくもないです。
お互いが譲り合う精神を持つ事は確かに大事ですが、道路整備や法改正にもっと力を注いでもらいたいところも本音です。
車道が危険な場合には歩道を走ることができる!
クドいようですが、自転車は車道通行が原則です。
ただし、例外が認められており、13歳未満と70歳以上の方、「自転車通行許可」あるいは「普通自転車通行指定部分」といった道路標識があるところでは、自転車が歩道を走ることは問題ありません。
そして、もう一つの例外が「安全のためにやむを得ない場合」となっています。
「やむを得ない場合」って誰の判断なのか疑問に感じる方もいることでしょう。
一般的には、路上駐車が多い場所とか、交通量が多い割に車道が狭いなどのケースがやむを得ない場合、という事になります。
しかし、この一般的な解釈は他人が判断する訳でもなく、自己判断にゆだねているわけです。
自己判断と言っても、主観的に危険だと思っても、客観的に危険だと感じてもらえないといけません。
逆に客観的に危険だと判断出来ない状態で歩道を走行してしまうと、警察に捕まることもあります。
どうしてもやむを得ないというときにしか歩道を通ることは出来ませんので、その点は気を付けましょう。
自転車は車道!のルールに縛られる危険性
車道を走っている車両はほとんどが自動車やオートバイで、自転車は少数派です。
そのため、自動車の運転手さんは「フラフラしてていつ倒れるか分からない」「左折する時に死角になって危険そうだ」「単純に邪魔だ」なんて思っていても不思議ではありません。
そして、万が一事故が起こった場合は自動車の責任が大きく問われる事になるので、出来れば自転車には歩道を走ってもらいたいと思っているはずです。
特にロードバイクなどは自転車の制限速度一杯くらいまでスピードが出るうえに、ペダルと靴が固定されている事があるので、事故が起きると大惨事になるケースも多いです。
しかし、自転車側の立場に立てば、「法律で車と同じ扱いになってるんだから車道を通るしかないでしょ」となるわけです。
また、自動車のドライバーがどれほどが自転車が車両であるということを認識しているのかは疑問です。
このように意思の違いによっても考え方が異なります。
この考え方の相違によって事故が起きるので、互いに法律を知り、事故が起きないように配慮していくことが大切なのではないでしょうか。
自転車の乗り方をもう一度見直そう
自転車の車道走行についてのお話でしたが、自転車の安全走行は状況によっても判断が分かれるので難しいですね。
事故を減らすために法改正したことで、かえって危険が増えてしまうことがないように、私たちもよく考えて行動しなければなりません。
法律を理解し、自転車、車、歩行者すべてが安全に暮らせる社会にしていきたいですね。