自転車事故での重過失傷害とは?!自転車のルールと罰金

自転車事故で責任を問われることが多いのが重過失傷害です。

その法定刑は、5年以下の懲役、5年以下の禁固、50万円以下の罰金になります。

それでは、いったい重過失傷害はどういった時に適用されるのか、事例をご紹介します。

また、自転車についての罰金も一緒に調べてみました。

重過失傷害を含む自転車事故の事例とは?①

自転車事故の刑事責任は、道路交通法重過失傷害が適用される事があります。
ここでは、最近の自転車事故で責任を問われた事例を挙げてみましょう。

まず一つ目は、自転車走行時に横断中のお年寄りと衝突したケースです。

交差点で、自転車で通勤をしていた女性が、横断歩道を横断中のお年寄りに衝突し、そのままお年寄りが頭を強く打ち、死亡してしまったケースです。

自転車に乗っていた女性は、約時速30キロで交差点に進入し、安全確認を怠った過失として「重過失致死」で送検されました。

スピードの出しすぎや、安全確認を怠っては事故を起こすということが分かるケースですね。

二つ目は、自転車走行時に歩行者と衝突して、そのまま轢き逃げしたケースです。

自転車で通勤中の男性が下り坂を、約時速25キロで走行していたところ、前から歩いて来た女性に衝突し、転倒させ、頭に大怪我を負った女性を救護せずに、その場から逃走した轢き逃げしたというケースです。

男性の前方不注意が原因であるとして「重過失傷害・道路交通法違反」で送検されました。

事故を起こした時は、被害者の安否を確認することが大切です。
また、状況によってはすぐに救急車を呼ぶべきです。

三つ目は、酒酔い運転で歩行者と衝突したケースです。

飲酒をしているにも関わらず、自転車を運転していた男性が、自転車通行可の歩道を走行し、歩道を歩いていた小学生二人に衝突して負傷させたケースです。

男性が酒酔い状態であった事から「重過失傷害・道交法違反」で現行犯逮捕され送検されました。
自転車であっても飲酒運転は捕まります。

酒酔い運転の場合、100万円以下の罰金が課せられます。

また、罰金刑以上の刑事罰を受けると、医師・栄養士等の免許を取ろうとしても資格を与えてもらえないことがありますので、危険行為はしないようにしましょう。

重過失傷害を含む自転車事故の事例とは?②

自転車事故で道路交通法や重過失傷害に適用される事例はまだあります。

四つ目は、自転車に乗っている人が、前方不注意で歩行者をはねてしまったケースです。
自転車を運転していた男性が河川敷道路を走行中に、歩行していた男性に衝突し、歩行中の男性の頭部の骨を折る重傷を負った交通事故のケースです。

運転していた男性が前をよく見ていなかった事から、前方不注意による「重過失傷害」で現行犯逮捕され送検されました

自転車は、脇見運転をしやすいので、しっかり前方を確認して走行する必要があります。
五つ目は、ロードバイクで走行中に、歩行者と衝突したケースです。

男性がロードバイクで、前屈みになって走行していたところ、対面歩行中の女性に気付くのが遅れ、衝突し、女性が転倒して頭を打ち、死亡してしまったケースです。

運転していた男性は、「重過失傷害」で現行犯逮捕され、女性が死亡したため「重過失致死」で送検されました。

ロードバイクに限らずスポーツタイプの自転車は、スピードが出ます。
そのため、一般的な自転車よりも注意が必要であり、街中ではスピードを出さないようにする必要があります。

因みに、重過失傷害の場合、30万円以下の罰金が課せられます。

自転車に乗るということは危険が付きまといます。
そのため、乗り方を間違えると危険だということを自覚しておきましょう。

重過失傷害は学生でも責任を負うのか?罰金はどうなる!?

自転車事故は減ることがありません。
その自転車事故で、収入のない学生が加害者になるケースもあります。
その場合の損害賠償が大きな問題となっています。

学生であっても罪に問われるのか、疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。

自転車事故の場合、自転車の運転者は加害者になり、民法第709条不法行為責任を負う事になります。

運転者以外の者は、民法715条使用者責任・第714条監督者責任が適用される場合を除き、加害自転車の保有者であっても責任を負う事はありません。

収入のない学生が自転車事故の加害者になった場合、判例でも責任能力を認めている事から、重過失傷害・重過失致死に拘わらず責任能力はあるとされます。
罰金や損害賠償金は就職し、給与が貰えるようになってから支払う事になります。

また、収入のない学生が加害者の場合、被害者は、民法第714条「責任弁識能力のない者の責任は、監督義務者がその責任を負う」とあるので、加害者の親等に損害賠償請求をする事が出来ます。

つまり、親が子供に対して交通事故防止・自転車の安全利用について必要な監督指導を行っていないと認められた場合、親に賠償責任が発生するのです。
自転車は、軽車両に該当し、自動車との場合は車両相互事故、歩行者との場合は人対車両事故となります。

従って、自転車事故の当事者は、速やかに警察へ届出をする義務があるのです。

重過失傷害と過失傷害の違いと罰金

重過失傷害についての事故についてお伝えしましたが、過失傷害と重過失傷害の違いをご存知ですか。
ここでは、過失傷害と重過失傷害の違いと罰金についてお教えします。

過失傷害罪は、【刑法第209条】のことです。
詳しくは、過失傷害罪とは、過失によって人に傷害を負わせるという罪です。
自転車での事故等でも、過失傷害罪になります。

過失傷害の罪には色々な類型がありますが、過失傷害罪はその基本形ともいうべき犯罪類型です。
過失傷害罪は、過失傷害の罪の中でも特に単純な過失を対象としています。

もっと複雑な過失の場合や結果が重大な場合は、重過失傷害・業務上過失傷害・過失致死等の過失傷害の罪の他の類型によって処罰されます。

この様に、過失傷害罪は基本的に違法性が軽微な行為を対象とする事から、処罰を被害者の処罰感情に委ねるのが妥当です。
そのため、過失傷害罪は申告罪とされています。

過失傷害罪の刑罰は、30万円以下の罰金または科料です。
30万円以下の罰金の具体的な金額は,1万円以上30万円以下です。
また、科料の具体的な金額は,千円以上1万円未満になります。

意外に知られていない自転車のルールと罰金

自転車事故の多い現在、自転車での走行時のルールや罰則を知らない人が多いです。
自転車での走行時のルールと罰則について幾つかお教えします。

信号無視
罰則は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金になります。
自転車での走行中以外でも、信号は必ず守る事が大事です。

一時停止違反
罰則は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金です。
一時停止の標識や標示のある場所では、自転車も必ず一時停止をしなければ処罰されます。

自転車の2台並んでの並進禁止
罰則は、2万円以下の罰金または科料です。
自転車の並進可の標識のある道路では、2台まで並進出来ますが、それ以外の並列進行は禁止されています。

自転車の乗車人員制限違反
罰則は、2万円以下の罰金または科料です。
ただし、16歳以上の人が、安全な乗車装置に6歳未満の幼児1人を乗せている時、または4歳未満の幼児を紐等で背負っている時は除きます。

無灯火の運転禁止
罰則は、5万円以下の罰金です。
夜間は、ライトを点けて運転する事が決まっています。
また、反射材の付いていない自転車も乗ってはいけないルールになっています。

酒酔い運転の禁止
罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
自動車でも自転車でも、酒気を帯びて自転車を運転は禁止されています。
自転車での交通事故でも、重過失傷害になる事もあります。

ルールを守って、安全運転をする事をお薦めします。

自転車の違反で受講義務が発生する!

自転車での交通事故で、重過失傷害等が増加している事を受けて、平成27年6月1日から「自転車運転者講習制度」が施行された事を知っている人は少ないと思います。

この講習制度は、14歳以上の自転車運転者が対象となります。
3年以内に2回の摘発された時、公安委員会から自転車運転者講習の受講命令が届きます。

因みに、この命令を受けてから3ヶ月以内の指定された期間内に受講しなければ5万円以下の罰金が科せられます。
講習の受講料は5,700円で、講習時間は休憩時間を除いて3時間です。

受講対象は、14歳以上からですが、万が一事故を起こした場合、小学生でも加害者となる可能性は十分にあります。
また、自転車による交通事故でも、多額の損害賠償責任が生じた例もありますので、保険を見直しておく必要はあります。

まず、既に加入している自動車保険等に個人賠償責任保険が付いていないか、団体保険等で傷害保険に加入していないかを確認する事をおすすめします。
万が一の自転車事故の場合、どこまでカバーされるのか確認も必要です。

自動車保険にもワイドタイプの人身傷害保険を付けられるものもありますが、保険会社によって補償の範囲が異なるので、示談交渉サービス等があるのかチェックしておくと安心です。

自転車保険はコンビニで加入出来るものもあるので、今入っている保険を確認して、必要であれば検討する事をおすすめします。

自転車は誰でも加害者になる可能性がある

自転車の怖いところは子供でも加害者になる可能性があるということですね。

自転車での事故は中学生でも責任を取るとされています。

万が一事故を起こしてしまったときのためにも自転車の保険は入っておくほうが安全といえるでしょう。