サイクルウェアは、ロードバイクやMTBといった車種ごとに、そのスタイルに特化して作られています。
しかし、クロスバイクの場合、クロスバイクに特化したサイクルウェアといったものはありませんが、下手な組み合わせをしてしまうと、クロスバイクの長所を生かせません。
そこで、この記事ではクロスバイクに最適なサイクルウェアについて考えていきます。
クロスバイク専用のサイクルウェアは「無い」
ロードバイクやMTBなどのスポーツ自転車の場合には、それに適したサイクルウェアが存在し販売されています。
例えば、長距離を走るためにパッド入りのサイクルパンツであったり、風ではためかないように、身体に沿うようにタイトに作られた、サイクルジャージがそれに当たります。
しかし、クロスバイクには、これといったサイクルウェアが存在しません。
ある方には、クロスバイクはロードバイクの乗車時と同じサイクルウェアを使用するもの、と考えられています。
また、クロスバイクは軽快車、いわゆるママチャリとロードバイクの中間的な存在と捉えられるため、多くは普段着で乗られています。
しかし、クロスバイクの魅力である、「気楽に味わえるスポーツ感」を存分に味わいたいなら、ロードバイク用の本格的なサイクルウェアや、普段着ではないサイクルウェアがおすすめです。
そこで、クロスバイクの長所を最大限に発揮するため、「クロスバイクのためのサイクルウェア」について考えていきます。
トップスは「ゆるい」サイクルウェアでクロスバイクらしく気軽に
トップスは、機能の面ではサイクルジャージが最適でしょう。
なぜなら、通気性がよく動きやすいのはもちろん、バックポケットにより、財布やスマホなどの必要なものが楽に持ち運べるからです。
しかし、クロスバイクの乗車時には、風ではためかないようにタイトに作られたサイクルジャージは、いささか窮屈に感じます。
そもそも、ロードバイクに比べ、クロスバイクは高速での走行をすることがほとんどないため、サイクルジャージのようにタイトである必要はそこまでないでしょう。
また、クロスバイクはフラットバーであり、上体の姿勢変化がないので、ストレッチ性をそれほど重視しなくても問題がないと言えます。
そのため、クロスバイクの乗車時にはサイクルウェアでなくとも、吸湿速乾性のある素材のウェアであれば好きなものを選んでも大丈夫でしょう。
そこで、おすすめしたいのが「FOX」などのダード系自転車ブランドのウェアです。
それらは、Tシャツ感覚で着られるような「ゆるい」作りで、吸湿速乾性もよく、普段使いでも全く問題ないデザインになっています。
それでいて、自転車特有の前傾姿勢を考えた形状をしており、後ろ身頃の裾が長めになっています。
インナーウェアを活用!ボトムスを快適かつカジュアルに
ボトムスは、パッド入りのサイクルウェアが必要か否かということ、そして、見た目を判断材料にします。
例えば、長距離サイクリングを楽しむのであれば、パッド入りのレーサーパンツが最適です。
また、長距離サイクリングの場合は、人と接する時間が短いため、それほど見た目を気にしなくとも大丈夫と言えるでしょう。
そのため、見た目を気にしない方には、レーサーパンツがおすすめです。
しかし、街乗りの場合は、乗車時間は短くなるためデニムなどの普段着でも対応できるため、パッド入りのレーサーパンツはオーバースペックになることもあります。
それだけでなく、周囲の目が気になってしまい街のお店に入るのを遠慮してしまうなど、クロスバイクの長所である気楽さが、レーサーパンツによって失われてしまいます。
しかし、クロスバイクの街乗りと言えども普段着では、お尻が痛くなったり、脚の動きが妨げられたり、パンツの裾がチェーンリングに噛み込んでしまうなど、様々な不満が生じます。
そこで、パッド付きのインナーウェアと、カーゴパンツやハーフパンツを合わせてコーディネートすれば、機能面と見た目の両立が可能です。
パッド付きインナーウェアは、レーサーパンツのパッドと比べて薄手であるため、自転車乗車時以外に着用していても、わずらわしさがありません。
そのため、パッド付きインナーウェアを利用すれば、サイクルウェアの機能性とカジュアルな見た目の両立が可能で、クロスバイクの長所を生かせます。
クロスバイクにこそ「サイクルグローブ」は必須!
サイクルグローブは、残念ながら他のサイクルウェアのように、カジュアルなものがありません。
しかし、クロスバイクはフラットバーであるため、乗車姿勢の変化がなく手の位置はいつも固定されており、それ故に、手の負荷がいつも同じ場所にかかり、手の痛みやしびれが発生しやすくなります。
つまり、クロスバイクにはサイクルグローブが必要と言えます。
サイクルグローブは製品によって、手のひらのパッドの厚さが変わります。
基本的に、長時間の走行や、激しい振動がかかることを想定したサイクルグローブほど、手のひらのパッドが厚くなります。
クロスバイクの場合、長時間の走行や激しい振動などはありませんが、前傾した乗車姿勢と手の位置がいつも一定である点を考慮すると、この「パッドが厚いサイクルグローブ」がベストでしょう。
なお、パッドが厚いサイクルグローブは、個人差によりわずらわしさや、操作感の低下を招く場合があります。
その場合は、ハンドルのグリップをクッション性に富むものや、グリップの上面がフラットな形状に近いものに交換すれば、薄手のサイクルグローブでも対応できます。
カジュアルなサイクルウェアには気軽なヘルメット「カスク」を!
ロードバイクやクロスバイクといったスポーツサイクルには、ヘルメットは必需品であり、もはや常識になっています。
ロードバイクなら、ロードバイク向けのヘルメットを使用すれば何も問題ありませんが、クロスバイクの場合、本格的ヘルメットをかぶるのは重苦しくて嫌だと思われるかもしれません。
そこで、クロスバイクには「カスク」とサイクルキャップの併用による頭部保護を提案します。
「カスク」とは、合皮と衝撃吸収材からなる簡易的なヘルメットで、軽量かつ折り畳みが可能で持ち歩いても邪魔になりません。
しかし、カスクをそのまま使用すると、ボクシングのヘッドギアのような印象を受けてしまうので、サイクルキャップの併用によりサイクルウェアらしさを演出します。
また、サイクルキャップは、装飾目的だけでなく汗止めや熱中症の予防といった効果を持ちます。
だたし、カスクは一般的なポリカーボネイト樹脂製のヘルメットに、保護性能の面では劣るため、ちょっとした街乗りやポタリングはカスク、本格的なサイクリングにはヘルメット、と使い分けをしましょう。
安全のための「反射材」!上手くサイクルウェアに取り入れよう
クロスバイクは、週末の趣味として乗るだけでなく、通勤通学や買い物の足といった実用的な目的でも使用されます。
その場合は、人や車の交通量の多い道の走行や、帰宅時間帯には薄暗い時間に走るということも多いでしょう。
そういった事情から、クロスバイクの事故が非常に多く発生しています。
また、クロスバイクと相性のよいカジュアルなサイクルウェアは、落ち着いた色合いであるため、それが仇となり夜間の視認性を低下させ、危険に遭遇する確率が上がってしまいます。
そこで、自分の身を護るために、クロスバイクのウェアには「反射材」を取り入れましょう。
反射材の取り付け場所は、自分の好みの場所で問題ありませんが、頭部や脚部などの動きの多い部分に取り付ければ、街灯などと誤認され難いので効果的です。
クロスバイクの場合、パンツの裾止めストラップを使用すれば、違和感なく反射材をサイクルウェアに落とし込めます。
また、反射材が用いられているメッセンジャーバックやウェストポーチは、ファッションとして違和感がないだけでなく、視認性の向上に役立ちます。
3つのポイントを押さえてウェアを選ぼう
クロスバイクにサイクルウェアについてお話ししましたが、結局のところ、「吸湿速乾性」「脚の動かしやすさ」「頭部の保護」の3点をしっかり押さえることが重要になります。
街乗りなどであれば、その他は好みの服装でも大丈夫でしょう。
ただし、機能面はサイクルウェアが最適であるため、機能と見た目の落としどころを探っていくことになります。
しかし、そういった悩みも、クロスバイクならウェア選びの自由度が高いので、「楽しみ」の幅は広いと言えるでしょう。