自転車を分解して、袋に収納して持ち運ぶことを「輪行」と言います。
スポーツバイクは、ホイールが簡単に脱着できる為コンパクトな形にする事が可能なので、輪行する事が出来ます。
人気の輪行袋にタイオガの「コクーン」という製品がありますが、jrの車内に持ち込めるサイズの規定を超えているという話があります。
日本全国津々浦々を走っているjrに乗れないとなると一大事ですから、しっかりと確認してみましょう。
タイオガの「コクーン」はjrの規定サイズ内に収まるのか?
ロードバイク等はレースの機材なので、分解してコンパクトに畳める様になっています。
また、レースではタイヤ交換などに一分一秒を争いますので、ホイールは簡単に脱着出来ます。
従って、今回の話の大前提としてはスポーツバイクは分解して持ち運ぶ事が可能だという事です。
例えば、旅行先で自分の自転車に乗りたい時や、レースの参加するが現地まで自走していくには遠い場合などに、持ち運びを選択する事になります。
その際に、自家用車で運ばれる人も多いですが、公共交通機関を利用して旅行をしたい人もいます。
電車などには自転車をそのまま持ち込む事は出来ず、専用の袋に収納する必要があります。
この様に専用の袋に収納して、交通手段を使って持ち運ぶ事を「輪行」と言います。
輪行にはjrや私鉄、路線バスなどの会社によって、異なった規定があります。
中でもjrは、輪行袋に収納した形で長さ+高さ+幅の3辺合計が250㎝以内でないと持ち込みが出来ないという規定になっています。
輪行袋の中でもかなり普及していると思われるタイオガの「コクーン」ですが、このjrのサイズ規定に引っかかるという話を聞きます。
収納方法が他の袋と違うからという事らしいのですが、実際にどうなのか検証してみます。
タイオガとは
タイオガの輪行袋「コクーン」とjrの規定の話をする前に、タイオガというメーカーについて触れておきます。
タイオガはアメリカの自転車パーツメーカーですが、現在のオーナーは日本代理店も務めている「株式会社マルイ」です。
マルイはシュウインやセンチュリオンといった、世界的バイクメーカーの代理店にもなっています。
また、以前はシマノ製パーツのアメリカへの輸出を一手に担っていた経緯もあり、日本の自転車業界では中核を形成する会社の一つです。
タイオガは、完成車とコンポのドライブトレイン以外はほぼ全てのパーツを扱うブランドです。
サドルの「スパイダー」シリーズなどはとても人気が高いですし、ヘッドパーツやステムの評価も高いです。
ミニべロ用のタイヤが充実していたり、ワイヤーロックが有ったり、とにかく手広く品ぞろえをしています。
jrの規定サイズはコクーンに自転車を入れた状態で測る
さて、タイオガの輪行袋コクーンですが、数多くの種類があります。
輪行袋そのものを収納する方法で、ポーチタイプとボトルタイプに分かれていたり、サイズも多種にわたります。
その中で、jrの3辺合計250㎝以内という規格から外れている物があります。
それは、「29er Cocoon」という製品で、MTBの29インチやロードバイクの700cに対応する物です。
カタログ値では長さが170㎝、高さが98㎝となっており既に268㎝あります。
ただし、袋はナイロン製で自転車に沿う形で折り畳めるので、輪行袋の表面上の寸法で考える必要はありません。
これに自転車を収納して、袋の余分な部分は折り曲げたり内側に折り込んで、サイズがどうなるかという問題です。
また、この製品がタイオガのコクーンの中で最も大きいので、これが250㎝以内に収まれば全てjrの車内に持ち込める事になります。
タイオガのコクーンはjrのサイズ規定をクリアしている
タイオガの輪行袋コクーンは、他の輪行袋とは若干収納方法が異なります。
一般的な輪行袋は前後輪共に外して収納しますが、コクーンは前輪のみを外します。
その分横幅を取ると思われて、jrのサイズ規定をオーバーするのではと言われている様です。
しかしコクーンの手順によると、サドルをシートポストごと外しますので高さが低くなります。
先ほど紹介した29er用には付属していないので別売りですが、専用のサドルケースがあります。
それをトップチューブに固定できる仕組みになっています。
従って、他の輪行袋よりも横長にはなるのですが、シートポストを外す分背が低くなるという構造です。
実際に、29erコクーンに自転車を収納している人の様子を見ましたが、jrの規定である250㎝を超えてしまう物はありませんでした。
また、29erコクーンは大きいサイズの自転車用の為、ナイロンの強度が他のコクーンに比べて3倍になっています。
それにも関わらず他メーカーの輪行袋よりもかなり軽量なので、輪行の性格を考えると嬉しいところです。
コクーンの最大のメリット
タイオガの輪行袋「コクーン」ですが、どうやらjrのサイズ規定はクリアしていると判断して良さそうです。
そして、コクーンの最大の利点は後輪を外さなくて済む事です。
後輪は駆動輪の為外して輪行した場合は、再組立ての際に多かれ少なかれ調整が必要になります。
整備に不慣れなうちは、ちょっとした調整にも時間を取られてしまいますし、不安が出てしまう事も有ります。
しかし、後輪を外さなくても済むことのメリットは、これだけではありません。
輪行は、電車などで自分の目に付く場所に置いておける場合だけとは限りません。
長距離バスや飛行機などは、他のお客さんの手荷物と一種に積み込まれるので、手荒に扱われる可能性もあります。
その際に一番心配なのは、後輪がはまっている「リアエンド」付近です。
リアエンドはフレーム自体が一番細い部分ですし、ディレイラーをフレームに支持するハンガーは構造上曲がりやすく出来ています。
これらは車輪を外してしまうと外に露呈するので、少しぶつかっただけでも深刻なダメージを受ける事があります。
もし、リアエンドが破損してしまったら、ホイールがはめられなくなります。
こういったトラブルも想定すると、後輪を外さなくて済むコクーンのメリットが際立つという事です。
輪行でjrを使用する場合は自転車を露出させてはいけない
最後に当たり前の事になりますが、タイオガのコクーンにしても他の輪行袋にしても、かなりの大きさになります。
その為、jrなどの公共交通機関を使う場合は、時間帯を考えた方が良いでしょう。
ラッシュ時間は、駅員さんに止められてしまうかもしれません。
また、タイオガのコクーンは商品説明に、後輪を袋の外に出し転がして輪行する事が写真付きで記載されています。
しかし、jr四国の規定には、「全てが袋で覆われており、一部でも露出してはいけない」とあります。
これはjr四国に限った事かもしれませんが、他地域でも駅構内で注意されたという事例が報告されています。
サドルケースが無かった頃のコクーンは、サドルが袋から飛び出ている状態でした。
今は、先述通りサドルが内蔵出来るようになりましたので心配はないですが、輪行は専用袋にすっぽり収めるのが基本と心得ておきましょう。
タイオガのコクーンは画期的な輪行袋
今回はタイオガの輪行袋「コクーン」の話をしました。
後輪が付けたままで使用できるのは、様々なメリットがある事が分かりました。
また、コクーンがjrの規定サイズを超えてしまうという話は、どうやら杞憂に終わりそうです。
しかし、大きな輪行袋である事は間違いないので、使用時にはくれぐれも周囲の迷惑にならない様にしたいものです。